人手不足は経営に深刻な影響を与えている。帝国データバンクが調査結果を発表し、2024年度上半期(4〜9月)は、従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とするいわゆる「人手不足倒産」が163件に達し、年度として過去最多を大幅に更新した2023年度を上回るペースだと分かった。
同期間では、2年連続で過去最多を記録した。2023年度は2022年度比で2.1倍の313件と大幅に増加したが、2024年度はさらに上回る可能性が出てきた。業種別では「建設業」(前年同期51件→55件)、「物流業」(同19件→19件)が特に多く、合わせて全体の半数近くにのぼった。その他「飲食店」(同2件→9件)も増加幅が大きく、全業種を通じて従業員数10人未満の小規模事業者における倒産が多かった。
直近のデータを振り返ると、2020年度の前半は新型コロナの感染拡大によって一時的に人手不足感が緩和されたものの、以降は経済の回復とともに深刻化。この4月に適用が始まった時間外労働の上限規制が人手不足に拍車をかけ、倒産が増加した。一方で、人材の確保や定着に重要な賃上げに向け、人手不足感が顕著な建設・物流業で「価格転嫁率」が徐々に上昇するなど光明も見えている。
帝国データバンクは「今後は価格転嫁状況の改善による賃上げ、労働環境の改善によって人材の確保につなげられるかが人手不足の解消を左右するだろう」とコメントした。
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