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なぜ、松のやは「290円朝食」にこだわる? ターゲティングとポジショニング戦略から見えた“必然”(3/6 ページ)

この価格設定は、同業他社と比較しても圧倒的である。

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松のやの成功要因(KSF)と戦略的意図

 松のやが実現している重要成功要因(KSF)は以下の通りである。

松のやの成功要因(KSF)

  • コストリーダーシップの確立:主要食材である豚肉や卵を大量一括仕入れすることで、スケールメリットを生かし、原価を抑制している。シンプルなメニューにより調理工程を標準化し、人件費や時間コストを削減している。
  • ブランドイメージの強化:物価高騰の中でも低価格を維持することで、「安くて美味しい」というブランドイメージを強固にしている。とんかつ専門店としての信頼性も高く、品質に対する顧客の安心感を得ている。
  • 顧客ロイヤリティーの向上:朝食メニューで新規顧客を獲得し、昼食や夕食でも来店してもらうことで、顧客のライフタイムバリュー(LTV)を最大化する戦略を取っている。

 これらの成功要因を通じて、松のやは新規顧客の獲得、リピーターの増加、そして市場シェアの拡大を狙っている。特に「290円」というインパクトのある価格かつ、「朝食」という毎朝のリピート性の高いメニューで顧客を囲い込み、「昼も松のやでいいか」「仕事終わりもサクッと松のやに行くか」といった具合に、顧客のライフタイムバリュー(LTV)を最大化するのが松のやの戦略的意図だと考えられる。

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