なぜコンビニ以上に調剤薬局があるのか 「クスリを出さない」発想が求められる理由:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
「調剤薬局」の倒産数が増えているが、日本はそもそも人口当たりの薬剤師数が多いといった状況もある。今後、薬局が生き残るには……。
ほとんどの調剤薬局が同様の場所に集中している
厚生労働省の第1回薬局薬剤師の業務および薬局の機能に関するワーキンググループ(2022年2月14日)に提出された資料によると、調剤薬局の立地は診療所の近くが約6割で病院の近くが2割という、いわゆる“門前薬局”だ。つまり、5万近い調剤薬局は似たようなロケーションに集中しているので、常に近くの競合と利用者を奪い合っている状況なのだ。
そんな競争環境をさらにハードなものとしているのは「増加傾向」だ。
近年、人口減少という現実をようやく受け止めて、コンビニやファミレスは減少傾向にある。先の日本経済新聞の調査でも、コンビニ店舗数は2年連続前年割れしている。にもかかわらず、コンビニよりも過剰供給している調剤薬局は右肩上がりで増えている。2006年度は約5.2万施設だったが、その後も続々と増えて、2019年には6万施設を突破。2022年度も前年度に比べて、584施設も増えている。
なぜこんなに続々と参入するのかというと、ミもフタもない話をしてしまうと「もうかる」からだ。
日本は診療と薬を分離させる「医薬分業」を推進しているので、調剤報酬が高くなったという経緯がある。どれほど高いのか。日本総研の成瀬道紀副主任研究員によると、日本の薬局の調剤報酬は国内総生産(GDP)比で英国、ドイツの3倍前後だという。(出所:中日新聞 2022年1月12日)
このような背景があれば当然、調剤報酬で食べていこうという人、つまりは薬剤師を志す人も増えていく。
経済協力開発機構(OECD)が加盟国35カ国の人口10万人当たりの薬剤師数を比較したところ、日本はダントツで多かった。2000年には113人で、35カ国平均の1.8倍。それから19年を経て調べたところ190人とさらに増えて、平均の2.2倍だった。OECDはこの状況を「過剰」と評価している。
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