なぜコンビニ以上に調剤薬局があるのか 「クスリを出さない」発想が求められる理由:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
「調剤薬局」の倒産数が増えているが、日本はそもそも人口当たりの薬剤師数が多いといった状況もある。今後、薬局が生き残るには……。
大手との差別化を図る薬局も
このような話を聞くと、「個人経営の調剤薬局は大手に飲み込まれるしか生きる道がないということか」と思うかもしれないが、もちろんそんなことはない。確かに資本的には異業種を買収するなんてことはできないが、「薬を出さないスペース」を併設することで、門前薬局という立地だけに頼る調剤薬局と差別化を図っていくやり方もある。
例えば最近多いのはフィットネスジムや、地域住民の憩い場や相談窓口として活用できるようなコミニティスペースの併設だ。ただ、このような取り組みは「ウエルシア薬局」など大手が積極的に進めているので、それほど差別化にはならないかもしれない。
やはり「個人経営という持たざる者ならではの戦い方」をしていくべきだろう。そこで筆者がこれから増えていくのではないかと考えているのが「肉を切らせて骨を断つ」的な捨て身の戦略だ。「薬を出さない」ことをガチでコンセプトに掲げてしまうのだ。
「おいおい、そんなことをゴールにしたら潰れちゃうだろ」と思うかもしれないが、実はこれからの日本では非常に大事なコンセプトだ。
ご存じのように少子高齢化の日本では、医療・年金という社会保障負担が雪だるま式に増えていることもあって、「無駄な医療」を削減していくことが喫緊の課題だ。具体的には、処方する必要のない薬、やる必要のない検査を減らしていくのだ。
実際、厚労省はかねて過剰な薬の処方を問題視しており、特に高齢者は複数の医療機関を股にかけて多くの薬を処方される「多剤投与」が問題になり、2018年には「高齢者の医薬品適正使用の指針」もつくられている。
では、具体的にどうやって減らしていくのか。薬を処方するのは診療した医師なわけなので、調剤薬局側で勝手に減らすことはできない。しかし、「無駄な薬を減らす」ことを薬局経営の柱にして、それを独自のカラーにするのは自由だ。
例えば、千葉県流山市にある調剤薬局「薬局ハカラメディコ」だ。
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