社内に眠る「音声データ」を収益源に AI時代に求められる「データ蓄積」の仕組みづくりとは?:「音声×AI」が変えるビジネスの未来(3/3 ページ)
AI時代に音声データを収集、蓄積、分析、共有する仕組みを構築することは、企業にとって競争優位を築くチャンスとなる。今回は、音声データの蓄積と、従業員の意識改革を進めるための具体策について解説する。
音声データの収益化へ、経営者に求められる役目とは?
AIは社会を変える力を持っていますが、変革の主役はあくまでそれを活用する「人」です。経営者が変革のリーダーシップを発揮するために必要なスキルは、未来を描く力、伝える力、共感する力、そして実行する力の4点です。
未来を描く力
市場や競合のデータに基づいたロジカルな戦略立案はAIの活用が可能で、今後より精度が高まるでしょう。一方で、情熱や直感など一見非論理的なアプローチで価値を創造する力は人にしかできないことです。AIが「おすすめしない道」を切り拓いていくことが、AIでは見いだせない未知の分野の探求につながる可能性もあります。
伝える力
データに基づいた説得力のある説明はAIの強みです。経営者は、データの説得力に加え、熱意や信念を伝えることで、従業員にやる気や信頼が生まれ、行動を起こす原動力となります。
共感する力
AIは具体的な解決策の提供は得意ですが、過去の経験や相手の感情をもとに共感する機能はプログラムしない限りありません。人の気持ちや考えに共感する力は人にこそできる能力で、チームの結束を強化し大きな組織を作ることができます。
実行する力
1人でできることには限界があり、目的やビジョンを共有できるチームを作ることが、課題解決に向けた実行へとつながります。異なる背景や専門知識をもつ多様性のあるチームでは、解決策やイノベーションが生まれやすくなります。
AI技術の発展は、日本企業にとって一気に変革をもたらすチャンスです。日本政府も2023年5月のG7広島サミットで「広島AIプロセス」を立ち上げ、AIに関する国際的なデファクトスタンダードを作る動きを見せています。
この公的な動きに民間企業も積極的に参加し、官民一体となってAI社会を実現していくことで、AI時代における「資源国」となり再び日本がグローバル社会における存在感を高める契機となるでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
AI時代に「音声データ」が持つ価値とは? コミュニケーションを”資産化”する方法
音声データは比較的容易に収集できるうえ、話者のパーソナリティやニュアンス、緊急度など、多くの貴重な情報を含む。AIを掛け合わせることで、ビジネスに大きな変革をもたらす可能性がある。
根性論をなくす 人材育成を変革する「音声データ」活用法とは?
音声データの活用メリットは、営業力の強化や業務効率化だけではない。採用の強化や従業員の定着率向上といった副次的な効果も期待できる。
