一番人気の「かつ重」は300円未満! スーパー・トライアルが物価高時代に「安さ」で勝負できるワケ(4/4 ページ)
ITと安さを武器に、着実に成長を続けているトライアルホールディングス。この3月に東証グロース市場への上場も果たし、注目を集めている。今回は実際に店舗を訪問し、消費者の支持を集めているポイントをあらためて探る。
食品同様、非食品も全体として安い印象を受けた。キャリーバッグは5000〜1万円程度であり、家電は中華ブランドやアイリスオーヤマ製品を取り扱っている。PBのアパレル商品は、概ね「ワークマン」と同じ価格帯であり、パーカーは1990円だった。
通常のGMSは商品棚が平行に並び整理されているが、八千代店の2階部分はドン・キホーテのように、どこに何があるか、やや分かりにくい構成となっていた。「楽しさ」をアピールすべく、あえて専門店風の陳列にしているという。GMS衰退の要因は、衣料品が売れなくなったことの他、専門店が並ぶイオンのようなショッピングモールに「レジャー性」で負けたこともあるとされる。消費者が飽きないため、レジャー性を演出することは重要だ。
「1兆円」へ向け、どのような成長を見せるか
トライアルHDは3月に東証グロース市場に上場。2024年6月期は連結売上高が7000億円を突破した。2025年6月期は約30店舗の出店を見込んでおり、今後も勢力拡大を目指す。
衣食住が何でもそろうGMS業態は衰退したが、トライアルのアパレル比率は小さく、売場に一定のレジャー性をもたらすなど、旧業態との違いは大きい。何より食品の圧倒的な安さで消費者の支持を得ている。一方で都市部に弱く、今後も郊外で勢力を伸ばしていきそうだ。地方衰退が進む現状においても、コストコやドン・キホーテのように地方で勢力を伸ばす小売業者は存在する。1兆円の大台に向け、どのような成長軌道を描くか注目が集まる。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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