キリン「晴れ風」が500万ケースを突破、新ビールがヒットした3つの理由:歳暮商戦も好調(2/4 ページ)
キリンビールが4月に発売したスタンダードビールの新ブランド「晴れ風」が絶好調だ。なぜ、ここまで予想を上回る勢いで売れているのか。同社が分析するヒットの要因などを聞いた。
発売ギリギリまでこだわったポイント
消費者の価値観は時代とともに変化している。例えば、一番搾りを発売した約35年前とは異なるものになっている。晴れ風は今後10年〜20年を見据えたときに、長く楽しんでもらえるブランドにしたいと考えたようだ。
企画時には「長く続くブランド」という方針のみが決まっている状況から、ゼロベースでスタート。消費者はどんなビールを求めているのか、一番搾りやラガービールに続くブランドになるために必要なことは何か、などを若手メンバーも中心となって思考した。
「世の中にはおいしいビールがあふれているため、味だけでなくネーミングやパッケージデザイン、CMなど、顧客とのコミュニケーション面も紆余曲折ありながら細部までこだわってつくり込んだ」
開発過程では晴れやかなイメージを体現することも検討しつつ、白を基調にしたパッケージデザインや現代らしい手書き風のロゴなども案に出ていた。事前の顧客調査で「目新しいものや奇抜すぎるものだと逆に手が伸びない、失敗しそうなイメージを抱く」といった声もあり、新しさも取り入れながらキリンビールとしての信頼感がある現在の形に落ち着いたという。
発売の4〜5カ月前に商品自体はできていたが、パッケージやプロモーション面の調整などはかなりギリギリまで詰めていたようだ。
ビール好き以外にも手に取ってもらうために
中身の味についても、試行錯誤を重ねた。晴れ風はいまビールを飲んでいない層にも受け入れられる商品にするため、なぜビールを選ばないのかを調査した。すると苦味や重みが飲みづらさにつながっていることが分かった。
「ビールらしい満足感と飲み応えも残しつつ、飲みづらいと感じる苦味や重みをゼロにすることは難しい。試飲を何度も重ね、王道でありながら新しい味わいを感じるものに近づけていった」
こうして誕生したのが「ビールとしてのうまみや飲みごたえ」と「飲みやすさ」を両立させ、“ビールのきれいな味”が感じられるバランスの良い味わいだった。
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