脱毛サロンなど、エステ業界の倒産が相次いでいる。東京商工リサーチが調査結果を発表し、エステ事業者の倒産が11月までに99件発生し、通年で最多だった2023年(88件)を上回ったことが分かった。
直近では、医療脱毛サロン「アリシアクリニック」を運営する医療法人社団「美実会」と一般社団法人「八桜会」が、12月10日に破産開始決定を受けて話題を呼んだ。東京商工リサーチによると、アリシアクリニックは全店舗で営業を停止しており、債権者のほとんどが脱毛費用を前払いした利用者だという。公式Webサイトによると、現金で前払いしていた場合は、未施術分の返金は極めて難しい状況だとしている。
コロナ禍前の倒産件数は2019年が73件で、コロナ禍の支援策で一時的に減少。2022年(52件)から増加へ転じ、2023年(88件)が最多となっていた。過去に起きた脱毛サロンの倒産(医療脱毛サロン除く)で負債が最大となったのは「全身脱毛サロンC3」運営のビューティースリー(負債80億円、債権者約4万6000人)。以下は「脱毛ラボ」運営のセドナエンタープライズ(同60億円、約3万人)、「銀座カラー」運営のエム・シーネットワークスジャパン(同58億5700万円、約10万人)が続く。
業界には、若者の興味を引き付ける広告などで契約を促し、多額の前払い金を集めて運転資金に充てる手法で事業を拡大してきた脱毛サロンが多い。こうしたケースは、契約数が鈍化すると出店費用や広告費などが負担となり、前払い金を返金できなくなりがちだ。東京商工リサーチは「脱毛サロンの倒産は、お客が支払う前払い金で事業を拡大するケースが大半で、お客を保護する仕組み作りが急がれる」としている。
本調査は、11月までの期間中に、負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
庶民の味「粉もん」に危機 たこ焼き、お好み焼き店で倒産相次ぐ
帝国データバンクが調査結果を発表した。
居酒屋が苦戦 コロナ禍を超え、倒産数過去最多を更新
帝国データバンクは、「居酒屋」の倒産発生状況について調査・分析を行った。大衆酒場や焼き鳥店など居酒屋経営事業者の倒産は11月までに203件発生し、年間最多を更新することが分かった。

