「音声データ」は営業をどう変える? インサイドセールスと親和性が高いワケ:「音声×AI」が変えるビジネスの未来(2/2 ページ)
商談や電話などの口頭でのやりとりは大半が記録として残されていないため、「会話のブラックボックス問題」が生じる。AIを活用することで会話を解析・可視化して、営業活動にどのような変革をもたらすのかを解説する。
The Model型営業組織と音声×AIの親和性
音声データを効果的に活用するための営業改革の一環として、インサイドセールス部門の設置が挙げられます。
インサイドセールス部門は、音声AIの活用を促進する重要な拠点になります。インサイドセールスは、電話やWeb会議を通じて商談を進めたり、顧客ニーズをヒアリングしてフィールドセールス(外勤型営業)に引き継いだりする役割を担います。
インサイドセールスは日々の営業活動を通じて音声データを蓄積できます。このデータには、顧客の課題を発見するための話し方や、契約・アポイント獲得につながるヒントが豊富に含まれています。これらを活用することで、営業活動の質を大きく向上させられます。
さらに、インサイドセールスとフィールドセールスだけでなく、マーケティング部門やカスタマーサクセス部門と連携することで、営業活動を組織全体で強化する体制を構築できます。このようなデータを部門間で共有しながら一貫したプロセスを実現する営業組織は米国発祥の「The Model型営業組織」と呼ばれます。日本でも、このモデルを採用する企業が増えています。
従来の営業はフィールドセールス主体でしたが、The Model型ではマーケティングデータを活用することで、新規顧客開拓が効率化されます。インサイドセールスが見込み客を効率的に絞り込み、フィールドセールスが商談の可能性が高い顧客に集中できます。
さらに、顧客データはCRM(顧客管理システム)で一元管理されます。このデータには、顧客の基本情報やニーズのヒアリング内容、過去の通話記録、受注実績が含まれます。特に、インサイドセールスと顧客の会話を音声データとしてCRMに保存することで、他部門のメンバーもその内容を確認でき、顧客の課題やニーズを詳細に把握することが可能となります。
これからの営業は、音声データを活用したデータドリブンな体制が求められる時代です。従来の属人的な営業スタイルから脱却し、組織全体でナレッジを共有し、スキルを標準化することが競争優位の鍵となります。
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