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「16時には帰れ!」 ユニクロ流・生産性を上げる働き方

ユニクロでは16時台の退社が推奨されており、「16時台退社率」8割を目標に掲げ、実際に達成しています。いかに短い時間で効率的に仕事をこなすかが求められます。

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この記事は、『ユニクロの仕組み化』(宇佐美潤祐著、SBクリエイティブ)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。


 生産性を上げるには「どう働くか」は切り離せません。働き方の仕組みもユニクロは独特です。本部は定時が7時〜16時に設定されています。間接部門の生産性を上げるための仕組みです。ダラダラ仕事をせずに、早く帰って、自己研鑽(さん)してくださいとよく言われていました。柳井さんも16時に帰っていました。

 16時ピッタリに帰らなくても、16時台には帰りなさいと会社は推奨していました。実際、16時台にどれくらいの社員が退社しているかを示す「16時台退社率」がモニタリングされていました。

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(提供:ゲッティイメージズ)

 数値は部門ごとに公表されて、数値が悪い部門の担当役員は柳井さんに改善を求められていました。それくらい真剣に取り組んで、回していた仕組みの一つです。

 「16時台退社率」は8割を目標に掲げていて、その目標は達成していました。ユニクロは激務の印象があるかもしれませんが、こうした仕組みがあることで、みんな自分なりに働き方を考えます。

 掛け声ではなく本当に16時台に帰らなければいけないわけですから、自然といかに短い時間で効率的に仕事をこなすかという思考になります。結果的に生産性は上がります。

仕事の進め方の「仕組み化」

 私が教育部門で生産性を上げるために導入した仕組みもあります。仕事の進め方の「仕組み化」です。

 仕事の生産性を高めるための第1のポイントは、「優先順位付け」と「自分の持ち時間の把握」です。つまり「何を、いつまでに、どこまでやるか」を明確にした上で、自分の持ち時間とマッチングを図ります。

 例えば、メーカーに勤めている社員ならば、「各仕事にはどのような工程が必要で、それぞれどの程度の時間を要するか」をまず把握します。同時に「各仕事の納期から現在まで、どのくらいの時間があるのか」を計算します。その2つを見比べてスケジュール調整します。

 この段階で、自分の持ち時間に対してやるべきことが多ければ、どんな仕組みをつくろうが無意味です。品質を落としてやるか、長時間労働でカバーするか、いくつかの仕事を手放すかになります。私の部門ではまず、部下に1週間単位でのやるべきことを考えさせていました。

 ただ、働いていればやるべきことはたくさんあります。そこで当たり前のことではありますが、「優先順位づけ」が重要になります。抱えている仕事の中で何が重要かを決めます。

 何が重要であるか、重要でないかは悩みがちですが、その際に有効なのが「2対8の原則」です。

 「付加価値の80%を生み出す20%の重要な仕事」を優先します。教育部門でしたら、原理原則をつくったり、現場で一緒になって課題を解決したりが重要な仕事になります。

 ただ、優先順位を決める上では、重要かどうかの視点以外も出てきます。分かりやすい例がトラブルです。

 日々の業務では想像していなかったトラブルが少なくありません。一つ一つは小さくても、放っておくわけにもいきません。トラブル対応には「緊急かどうか」の視点が必要になってきます。

 そこで私の部門では、縦軸を重要度、横軸を緊急度としたマトリックス(図表6)をつくって仕事をプロットし、毎週初めにリーダーとスタッフが優先順位と今週やることの確認を行っていました。マトリックスは4象限から成り立ちます。

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図表6
  • A:重要かつ緊急
  • B:緊急だが重要でない
  • C:重要だが緊急でない
  • D:重要でも緊急でもない

 ユニクロの場合、16時台退社が前提になっていますから、ここの仕分けも非常に重要になります。

 やらなくていい仕事はやらない。その上で重要度と緊急度から優先順位づけします。自然と生産性は高まります。

 このうち最も優先度合いが高いのはAであることは明らかです。まっ先に手をつけるべき仕事です。注意が必要なのはCです。緊急性が重要性を駆逐しこの部分が意外に手つかずになりがちです。注意を払わないと、Bにばかり手をつけてしまいがちになります。Bの仕事をしていて、Cの仕事にいつまでたっても手をつけない。いつまでたっても大きな成果が出ない形になります。

 成果が出ないだけならまだしも、重要と認識している仕事ですから、手をつけないでいると緊急度合いが知らず知らずのうちに高まって、気づいたらAに変身することもよくあります。そのときになって慌てて対応しようと思っても、手に余る状態になっていることも珍しくありません。

 ですから、Bに振り回されずに、Cにも目配りする。CがAに変わるリスクも念頭に置いて、向き合う姿勢が必要になります。私は部下にはこのCの仕事を放置しないで、仕事全体を管理する重要性を伝えていました。

 では、具体的にはどうすればいいか。ポイントになるのは定期的にチェックする仕組みです。

 重要度と優先度で仕事を振り分けても、振り分けただけでは意味がありません。週ごとに何をやるかを自分で考えて、決めさせて、それが実践できたかどうかを1週間後にチェックします。

 定期的に振り返ることで、緊急度に振り回されて「重要だが緊急でない」仕事に手をつけられない状態を防げます。週次で回しているので、もし手つかずでしたら、「なぜできなかったのか」を議論し、根本原因を共に考え行動を変えることを促していました。これを続けていくと自然と、自分で考えて作成した計画を遂行するマインドになります。

 「仕組み化」で重要なのは、この振り返りの場です。どんなに機能する仕組みをつくっても、それが実践できているかどうかを検証しなければ、改善は見込めません。やりっぱなしになってしまいます。

 ユニクロの「仕組み化」の強さは「振り返って、それをすぐに見直すところ」にあります。

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