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年間「8.7万時間」の削減 ソフトバンクの営業組織は、なぜ「AIに優しく」するのか【連載】生成AIが支えるシン営業組織(2/2 ページ)

ソフトバンクでは法人顧客への提案活動を支援するツールを開発・活用し、年間8.7万時間の業務時間削減に成功するなど、大きな成果を上げてきた。同社は生成AI活用によって営業活動をどのように変革してきたのか。

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「AIには優しく」 意識している3つのポイント

Q:生成AIを営業フローに導入した際に工夫したこと

 生成AIのプロンプト入力を簡略化しました。まずは営業のさまざまなケースを想定したプロンプトをプリセットで用意し、さらにそれを各自でカスタムできるようにしました。カスタムしたものは他の営業担当者ともシェアできます。

 今後はプロンプトを入力しないでも済むように、最低限の画面の操作で特定業務が半自動化できるものを開発中です。

 生成AIは非常に便利な一方、全てに正しい回答をしてくれるわけではありません。生成AIが作った成果物を必ず人の目で見たうえで、RPAなどで自動化するようにしています。ここは開発当初の想定とは異なった点ですね。

Q:AIを活用するに当たり気を付けていること

 以下3点を意識しています。

(1)回答の正確性の担保

(2)自分の経験値を上げながら、生成AIを“支援”としてうまく活用すること

 生成AIは若手社員のボトムアップの助けになる一方、生成AIに頼りすぎて自分の頭で考えないのも良くありません。

(3)AIが学習しやすいデータセットの準備

 生成AIの活用にデータは重要です。元のデータが適切でないと生成AIはきちんとした回答を返してくれません。営業業務に限らず、「AIには優しく」と考えています。

 商談などの練習を行うAIアバターは、すでに世の中に登場しはじめています。資料・見積作成業務や、AI同士に会議をさせて提案の下準備をするといったことも実現すると思います。

 ただ、契約などの重要な決定や高度な資料作成など、人間でなければ難しいことも多く存在します。また、人の“温かさ”で物事がスムーズに進むなど、人間同士のコミュニケーションも簡単になくなるものではないと思います。


ソフトバンクの営業組織は、生成AIを活用し年間8.7万時間の業務削減に成功した(提供:ソフトバンク

 営業部門には直販やインサイドセールス、Web上でのデジタルマーケティングなど多様な業務があります。現在当社では、これらを横断するデジタルセールスでAIを積極的に活用することを推進し、お客さまの情報や傾向を分析し、それぞれのお客さまに最適なご提案をすることに取り組んでいます。検証・研究段階のものも含めて、よりよい営業活動に向けて、今後もさまざまな取り組みを進めていきたいと考えています。

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