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Netflix、会員3億超、広告収益は2倍と絶好調 アナリストは好決算をどう読み解く?

Netflixは1月21日、2024〜2025年の年末年始の四半期に過去最高の加入者数を獲得したと発表した。

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 Netflixは1月21日、2024〜2025年の年末年始の四半期に過去最高の加入者数を獲得したと発表した。ライブスポーツイベントや人気シリーズの続編、ビヨンセによるフットボールのハーフタイムパフォーマンスのようなコンテンツを提供し、ストリーミング動画市場での優位性を改めて示した。

 同社は第4四半期に1890万人の加入者を増加させ、全世界の加入者数は約3億200万人に達した。この数字は、ハリウッドの他のストリーミング競合他社を圧倒している。

 Netflixは、番組制作への支出を増やすため、米国、カナダ、ポルトガル、アルゼンチンで値上げを決定した。米国では広告付きプランが月額6.99ドルから7.99ドルに値上げされ、プレミアムプランは既存価格より9%高い24.99ドルになる。

時価総額500億ドル増 好調の要因は?

 投資家はこの結果を歓迎し、Netflixの株価は時間外取引で約13%急騰。時価総額は約500億ドル増加した。過去1年でNetflix株は77%以上上昇しており、これはS&P500の24%上昇を大きく上回る。

 「Netflixはそのリーダーシップを再確認し、ストリーミング市場で確実に他社を引き離している」と英調査企業PP Foresightのパオロ・ペスカトーレ氏は述べた。「競合他社に比べて非常に強力で多様な番組編成を背景に、料金調整を進めている」

 第4四半期の番組ラインアップはNetflix自身の予想を上回り、ディストピア系サバイバルスリラー『イカゲーム』の第2シーズンは同社の最も視聴されたオリジナルシリーズの1つになる見込みである。

 Netflixが強化しているライブストリーミングイベントへの投資は、数千万もの視聴者を引き寄せている。11月のヘビー級ボクシングのジェイク・ポール対マイク・タイソンの試合は6500万ストリームを記録した。また、クリスマス当日に実施した2つのNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の試合のうち1試合では、ビヨンセのハーフタイムパフォーマンスが行われた。平均3000万人のグローバル視聴者を集め、リーグ史上最もストリーミングされた試合の1つとなった。

 「これまでで最大の加入者増を記録したのは、Netflixの質の高いコンテンツへの注力が、年間を通じた成功と第4四半期の好調をもたらしたからだ」と米調査会社のForrester Researchのディレクター、マイク・プルー氏は述べた。


(提供:ロイター)

 NetflixはCOVID-19や2023年のハリウッド脚本家および俳優のストライキの影響を乗り越え、アダムス・ファミリーシリーズの 「Wednesday 」や超自然現象の 「ストレンジャー・シングス 」などの人気番組の新シーズンを配信している。

 また、米プロレス団体WWEの「マンデーナイト・ロウ」の週ごとのエピソード配信を含む、さらなるライブイベントを放送する予定だ。2027年と2031年のFIFA女子ワールドカップの放映権も獲得。これはレギュラーシーズンのスポーツパッケージではなく、特別イベントの番組編成を提供する同社の戦略を示しているという。

広告収益は2倍に成長

 こうしたライブイベントは広告主にとって魅力的だ。

 「第4四半期に広告収益目標を上回った」とNetflixの共同最高経営責任者(CEO)グレッグ・ピーターズ氏は述べ、「昨年、広告収益は前年比で2倍になった。今年も再び倍増すると期待している」と語った。

 同社は、広告付きバージョンのサービスは、提供地域での新規加入のうち55%を占めていると発表した。

 オーストラリアMacquarie Equity Researchのアナリスト、ティム・ノレン氏は、広告収益が今年20億ドルに達すると予測している。これは、より多くの人が広告付きプランに加入し、Netflixの広告技術が成熟することが要因である。ティム・ノレン氏はNetflixの決算報告に先立って発表した投資家向けメモで、ライブイベントが引き続き新規加入者を増加させるだろうと述べた。

 なお、今四半期はNetflixが加入者数の増減を報告する最後の機会となる。同社は、収益や利益など他の業績指標を重視する方針を示しており、これは加入者増加ペースの鈍化に対応するための変更だとアナリストたちは指摘している。

 同社の1株当たり利益は4.27ドルで、ウォール街が予想した4.20ドルを上回った(34人のアナリストによる平均予測)。年間営業利益は同社史上初めて100億ドルを超えた。

 売上高は前年同期比で16%増加し102億ドルに達し、ウォール街の四半期予測である101億ドルを上回った(LSEGによる)。関係者によれば、四半期中の加入者数の増加が収益に同様の急増をもたらさなかったのは、加入者が四半期を通じて登録したためだという。

 同社は2025年の収益予測を435億ドルから445億ドルへと上方修正した。この改定は、ビジネスの基盤が改善していることを反映していると述べている。

 Netflixの取締役会は、株式の追加買い戻しに150億ドルを承認し、買い戻し総額を171億ドルに引き上げた。

Copyright © Thomson Reuters

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