トライアルHD、西友を子会社化 「ベストパートナー」と期待寄せる理由
トライアルHDは3月5日、西友を買収すると発表した。株式取得額は約3800億円で、株式譲渡実行日は7月1日。西友の雇用や屋号は維持する方針だ。
トライアルホールディングス(以下、トライアルHD)は3月5日、西友を買収すると発表した。米投資ファンドなどから、西友の株式を100%取得する。株式取得額は約3800億円で、株式譲渡実行日は7月1日。西友の雇用や屋号は維持する方針だ。
トライアルHDは九州発祥のディスカウントストア大手で、現在は地方と郊外を中心に343店舗を展開している。今回の買収の大きな狙いの1つが、関東エリアの事業基盤の確保だ。
西友は、関東エリアを中心に242店舗を展開している。その多くが駅近という好立地だ。西友を子会社化することで、競争が激しい関東エリアでのシェア拡大を図る。3月5日の記者発表会で、トライアルHDの石橋亮太取締役は「弊社グループと西友の店舗は地域的に重複が少ない。よって、商圏のカニバリゼーションによる退店などといったマイナスの影響はほぼない」と強調した。
西友の商品力や、物流拠点の活用も見込む。「西友は『みなさまのお墨付き』『食の幸』といったPB商品の評価が高い。弊社もおいしくて安い総菜の開発に力を入れている。両社で共同開発すればコストの削減にもつながる」(石橋氏)。また、西友のプロセスセンターやセントラルキッチンなどの製造拠点を獲得することで、生産・物流の最適化にも期待を寄せる。
トライアルHDの祖業はITであり、同社はディスカウントストアと並行して、デジタル技術を活用したリテールAI事業も展開している。永田洋幸取締役は「まずは、当社が自社開発したタブレット決済機能付きのレジカート『Skip Cart』の導入を進める」としたコメントした。
西友の大久保恒夫社長は記者発表会に出席しなかったものの、「両社は多くの面で相互補完できるベストパートナーである」とのコメントを発表した。今回の買収により、連結売上高1.2兆円の小売グループが誕生することになる。西友を足掛かりに激戦地である関東エリアに本格進出するトライアルHD。再編が進むスーパー業界の今後の動向に注目だ。
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