2015年7月27日以前の記事
検索
連載

「食べ残しの持ち帰り」は日本でも浸透するか すかいらーくで進むユニークな「ロス削減」の取り組み(2/3 ページ)

すかいらーくHDでは、食品ロスに関する取り組みが進んでいる。海外では一般的な「持ち帰り」だけでなく、食べ終えたテーブルを撮影するユニークな取り組みについて、狙いや成果を取材した。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

飲食店のごみは、多いほどコストに

 飲食店が出すごみは「事業系一般廃棄物」であり、家庭ごみの集積所には出せない。料金は自治体によるが、東京23区の場合、1キロ当たりの手数料が46円だ。食品ロスが多ければ多いほど、事業者にとっては負担になる。

 特に厄介なのは廃油などの産業廃棄物であり、処理業者に委託する必要がある。余談だが、ラーメン店で残ったスープを処理するにはグリーストラップで水と油を分離するか、設備がなければ固めて産廃として出す必要がある。ラーメン店がご飯を無料提供するのは、集客の他にスープを減らしたい狙いがあるためとされる。

 これらの事情を踏まえてすかいらーくHDにおける食品ロスや食べ残しの負担について聞いたところ「そこまで大きくはない」と担当者は話す。

 「その日に必要な食材を毎日発注し、翌日配送する仕組みがあるため、店舗に多くの食材在庫が生まれてロスになることはありません。ただ、食べ放題業態では食品ロスの課題があり、削減の取り組みを推進していく考えです」

写真を撮影し、要件を満たせばクーポンがもらえる

 食べ放題業態の課題を解消するべく、2024年4月からしゃぶ葉で実施しているのが、冒頭のこまめどりプロジェクトだ。


こまめどりプロジェクトの概要(出所:しゃぶ葉公式Webサイト)

 こまめどりプロジェクトでは、食事終了後に客がテーブルの様子をスマホで撮影。完食した様子を店員に見せると、人数分のドリンクバークーポンをもらえる。皿に肉・野菜などの残りがなく、鍋の中に「箸で取れるもの」がなければ要件を満たす。汁物は残しても良い。

 現状、客数に対するこまめどりプロジェクトの利用率は取得していないものの、前述のドリンクバークーポンの利用率は5%で、一定の利用があるという。店舗でも完食する客が増え、利用者からは「食育に良い」などの意見も出ているようだ。


写真の撮り方や要件(同前)

 こまめどりプロジェクトのような施策は、食品ロスもさることながら消費者にポジティブな印象を与え、宣伝やリピート率向上の効果もありそうだ。サステナビリティやSDGsといった単語が定着している昨今、客の協力も得やすい。単にクーポン券を渡すだけの施策より、イメージアップや宣伝の効果は大きいかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る