小売の「決済デジタル化」が進む中、障壁になっていること
デジタル決済が消費者の間で主流になる中、小売業者も対応する決済手段を拡充しようとしている。しかし、全ての小売業者が障壁なく進められているわけではない。
デジタル決済が消費者の間で主流になる中、小売業者も対応する決済手段を拡充しようとしている。しかし、レガシーシステムの対応やデータセキュリティ、プライバシーの問題を考慮すると、十分な投資が必要であると英KPMGは指摘している。
デジタル決済浸透の障壁になるのは?
KPMGの報告によると、小売業者の5社中3社がデジタル決済の導入・拡張に取り組んでおり、ほぼ同数が新たな決済オプションの追加を進めている。
「新たな決済プラットフォームの導入と統合は複雑で時間がかかる」と、KPMGのグローバル決済部門を率いるコートニー・トリンブル氏は報告の中で述べている。「それでも、経営層は決済の近代化が成長とイノベーションの推進力になると認識している」
最大の課題の一つはコストである。回答者の3分の2近くが、小売業向けの最新決済プログラムを構築する際の最大の障壁は、新技術の導入コストだと答えている。また、半数以上の企業にとって、従業員を旧システムから新システムへと移行させるための研修も課題となっている。
米KPMGの消費者・小売部門の全国セクターリーダーであるドゥリープ・ロドリゴ氏によれば、若年層の消費者は現金やクレジットカードよりも、コンタクトレス決済やモバイルウォレットなどのデジタル決済手段を好む傾向が強まっている。デジタル化の取り組みを支援するため、小売業者の5社中3社はすでに専用アプリを提供するか、今後導入を計画している。
特にZ世代は対面での買い物を好むものの、決済方法としてはデジタルを好む傾向がある。
しかし、シームレスな決済にはメリットとデメリットの両面がある。コンタクトレス決済は取引時間の短縮やデータセキュリティの向上、顧客満足度の向上といった利点がある一方で、特定のプライバシーリスクにもさらされやすい。悪意のある第三者が消費者の行動データを悪用し、不正購入などに利用する可能性もある。
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