「寿司1カン2000円」「30万円の中華料理」 強気価格が目立つニセコ、現地自治体の苦悩とは(3/6 ページ)
インバウンド向けの高価な飲食店が話題になることも多いニセコ。果たして実際はどのような現状になっているのか。現地の自治体などを取材すると、ちょっと意外な姿が見えてくる。
まるで“異世界” 価格も景色も特殊な世界
話を戻そう。JR倶知安駅に着いた筆者は、駅前で「ニセコバス」に乗車。バスは比羅夫を通り、リゾートホテルのヒルトンニセコビレッジ方面へと向かった。乗客は20人前後。日本人は筆者を含めて2〜3人のみで、他は全員外国人と見受けられた。スキー板やスノーボードを持っている。
ニセコバスの車内では、日本語と外国語の自動音声が長々と流れる。同社の自動音声装置などを製作する中央バス商事によると、製作している音声の種類は日本語と英語、中国語の3種類。「確認できるものでは、2005年ごろから運用を始めているとの記録がある。今のところ、国の数を増やす予定はない」(同社担当者)という。
また、ニセコバスによれば「乗務員への教育は特にしていないが、(外国人との会話を補助するための)指さし確認ボードを持たせてはいる。バスの増便は人手不足のため、したくてもできない」と回答し、肩を落としていた。
バスは坂を上り「比羅夫北」停留所を過ぎた。このエリアでは道道343号線に沿い、ホテルやペンションなどが立ち並んでいる。外国人観光客向けだろうか「インターナショナルクリニック」と書かれた病院があり、まばらだが飲食店もある。
この辺りからキッチンカーの姿を多く見かけるようになる。時を同じくして、道路の両側にロッジが見えてきた。数でいえば7棟×3列ほどだろうか。
「パノラマ ニセコ」と書かれた1泊10万円以上もする宿泊施設も見えてきた。とある宿泊予約サイトを見ると、ホテルやコンドミニアムの価格が10万〜20万円が当たり前。筆者はこの時点で「別世界に来た」と感じた。これまでバスで通ってきた風景とは全く違うもので、まるで日本ではない別の国に訪問したような感覚である。
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