組織の理念体系「MVV」を作りたい 生成AIの活用法は?【プロンプト紹介】(2/2 ページ)
組織の理念体系「ミッション(M)・ビジョン(V)・バリュー(V)」の策定に生成AIを活用すれば、高速度で確度の高い出力が得られる。MVV策定における生成AI活用の方法を紹介する。
MVVの案を複数生成するプロンプト
さて、いよいよAIの力が特に生きる「(4)企業理念の理解、顧客理解、部署の特性の理解にもとづき、MVVの案を複数作成する」という段階です。
【プロンプト】
#指示
- #チーム の理念を2パターン作ってください。
- あなたはクリエイティブな組織開発コンサルタントです。
#制約条件
- 理念は、#企業理念 にもとづいて#顧客 に価値を提供するために定めるものです。
- 理念は必ず#チームの概要 を反映したものにしてください。
- 理念はミッション、ビジョン、バリューの形式にしてください。
- ミッションとは、そのチームが果たすべき使命、なすべきこと、チームの存在意義です。
- ビジョンとは、そのチームが実現したい未来、中長期的な目標です。顧客の課題がどのようにされるのか、社会がどのように変わるのか、といったことです。
- バリューとは、ミッションやビジョンを実現する上で判断基準となる行動基準や行動指針、価値観を表しています。
- #企業理念 と似たものにしないでください。
- そのチームの業務内容に即したものにしてください。
- できるだけこの会社の事業内容・チームの業務内容に絡めた表現にしてください。
- 理念はできるだけ短くまとめてください。
#企業理念
前ページ同様
#顧客
- 思い出を大切にしたい、家族や友人との絆を深めたい、新しいエンターテイメント体験を求める一般消費者。
- 企業のコーポレートブランディングやコンテンツ提供に活用したい法人顧客。
#チームの概要
- チーム名:営業部
- 業務内容:自社ITサービスの価値を顧客に伝えること。
- 課題:競合サービスとの差別化を明確化し、自社サービスの価値を顧客に理解してもらう必要があります。
- 過去の戦略:個人向けの思い出のデジタル化サービスに注力していました。
- 現在の戦略:法人向けサービスの開拓と、思い出共有プラットフォームの拡大に注力しています。特に、企業研修やイベント企画において、「記憶に残る体験」を創出できることを訴求することで、顧客獲得を目指しています。
- 将来像:
思い出のデジタル化のリーディングカンパニー:思い出をデジタル化する技術とサービスにおいて、業界をリードする存在となる。
#出力形式
- 以下の形式で2パターン作成してください
- MISSION:
- VISION:
- VALUE:
上記のプロンプトのポイントは、これはチーム理念なので、「#企業理念 と似たものにしないでください」いった制約条件を与えて、ぼんやりとしたものになることを回避することです。
【回答】
パターン1
MISSION:顧客の価値を最大化し、感動的な体験を届ける。
VISION:思い出を活用した企業の成長を支援し、感動の輪を広げる。
VALUE:
Customer Commitment(顧客中心):顧客の声に耳を傾け、共に価値を創造する。
Team Collaboration(協働):コミュニケーションを大切にし、一丸となって目標を達成する。
Innovative Spirit(革新の精神):変化を恐れず、新たな価値を創り出す。
パターン2
MISSION:人々の思い出に新たな価値を提供することで、顧客との絆を強化する。
VISION:企業と顧客が共に感動を分かち合い、豊かな未来を築く。
VALUE:
Empathy-Driven(共感重視):顧客の感情に寄り添い、期待を超える価値を提供する。
Creative Thinking(創造力):顧客の課題に対して柔軟で革新的なアプローチを追求する。
Excellence in Service(卓越したサービス):常に質の高いサービスを提供し、信頼を築く。
顧客との接点を持つ営業部であることを意識した営業部ならではのチーム理念が出てきました。これをもとに、次の「(5)それらの案を比較検討しながらブラッシュアップしていく」という段階に進みましょう。
理念というのは重要なものですから、AIにすべて任せるわけにはいかないものです。しかしこれまでご紹介してきたように、うまく取り入れることで、思考時間を短縮し、本質的な対話や議論に集中できるようにしてくれるのです。
著者プロフィール:谷岡悟一(たにおか・ごいち)
株式会社ノースサンド執行役員。ITコンサルティング業界で20年以上の経験を持ち、アプリケーション開発からITインフラ構築、プロジェクトマネジメントまで幅広い分野で活動。PMP資格保有者として10年以上にわたり1000人以上の受講生にプロジェクトマネジメント研修を実施。2022年『ストーリーでつかむ!プロジェクトマネジメントの原則』(クロスメディア・パブリッシング)を出版。
直近は、製造業や製薬業界のDXプロジェクトを支援する一方、AI技術の実務応用にも注力。AIを用いた「思考のレバレッジ化」の実践者として、2024年に『「AI思考」は武器になる』(クロスメディア・パブリッシング)を上梓し、技術進化に左右されないAIリテラシーの重要性を提唱している。趣味はスパルタンレースで、トライフェクタ達成の経験を持つ。
「AIが気になるけれど、活用方法がわからない」――そんな声を、多く耳にします。
でも、それは本当にもったいないことです。
AIを使いこなせば、仕事のクオリティを上げながら効率化できるからです。
そこで「本当に実務で使えるAI活用ガイド」をつくるため、
「ノースサンド」に所属する1,000名の現役ITコンサルタントにアンケートを実施。その結果、
- 業務効率化はもちろん、
- ビジネスフレームワークの自動化
- AIを専門家や顧客の役割として活用 など、
多彩な方法でAIを駆使していることが明らかに。
本書では、その最前線の知見を惜しみなく公開します。
こんなシーンで、すぐに使える!
- リサーチやアイデア出しをスピードアップ
- 戦略立案や提案書作成のクオリティ向上
- メール作成や会議準備を効率化
AI初心者でも安心の基礎知識から、コンサルタントならではの応用テクニックまで網羅。
さらに、「コピペするだけで使えるプロンプト集」が読者特典として付属します。
本を開いたその日から、すぐに実務で活用できます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
