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大屋根リング議論で露呈した場当たり対応 建設は「突然」、解体のはずがレガシーへ保存
大阪・関西万博のシンボル、大屋根リングを巡っては、建設から保存方針の決定に至るまで場当たり的な対応が続いてきた。
大阪・関西万博のシンボル、大屋根リングについて、日本国際博覧会協会は23日、関係機関との間で、一部保存の方針を確認した。リングを巡っては、建設から保存方針の決定に至るまで場当たり的な対応が目立つ。協会が万博のシンボルと位置付けるリングは、皮肉にも運営の計画性のなさを象徴する建築物にもなっている。
協会はリングについて「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインの理念を表しているとうたう。だが、万博誘致時の当初計画にはなかった建築物で、2020年末に発表された計画に盛り込まれた。
協会副会長(理事)を務める関西経済連合会の松本正義会長は過去の会見で、リング設置について「経済界がイエスといったか記憶がない」「突然、建築の専門家が入ってきてそうなった」と不快感を示していた。
協会と大阪市が結んだ契約では、会場の敷地は建築物を全て解体し撤去することになっている。リングも解体する方針だったが、大阪府の吉村洋文知事らが「万博のレガシー(遺産)に」と残置を主張。協会も、維持管理などに充てる財源はないとしながらも、保存に賛同してきた。
会場建設費の3分の1を負担する財界は、リングを残すための新たな費用の負担には応じないとの意見が大勢を占め、水面下で利害関係者がにらみ合っていた。(井上浩平)
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