Google、敵に塩を送る? OpenAIと協業──“緊張感”あるその内容
米OpenAIはこのほど、ChatGPTやその他のプロダクトを稼働させるため、米Googleが開発したAI用半導体をレンタルし始めた。関係者がロイター通信に明かした。
【注目】ITmedia デジタル戦略EXPO 2025夏 開催決定!
従業員の生成AI利用率90%超のリアル! いちばんやさしい生成AIのはじめかた
【開催期間】2025年7月9日(水)〜8月6日(水)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】ディップでは、小さく生成AI導入を開始。今では全従業員のうち、月間90%超が利用する月もあるほどに浸透、新たに「AIエージェント」事業も立ち上げました。自社の実体験をもとに、“しくじりポイント”も交えながら「生成AIのいちばんやさしいはじめ方」を紹介します。
米OpenAIはこのほど、ChatGPTやその他のプロダクトを稼働させるため、米Googleが開発したAI用半導体をレンタルし始めた。関係者がロイター通信に明かした。
NVIDIAに次ぐ選択肢としてGoogleチップを活用
ChatGPTの開発元であるOpenAIは、NVIDIAのGPU(グラフィックス処理ユニット)の最大規模の購入企業の一つだ。AIモデルの学習と、学習済みモデルが新しい情報に基づいて予測や判断を行うプロセスである「推論処理」の両方に活用してきた。
しかし、AIモデルの運用に必要な計算能力が急増する中、OpenAIはGoogle Cloudのサービスも新たに導入する計画を立てていたことが、6月初旬にロイターの独占報道で明らかになっていた。
Google製TPUの外部提供が拡大
今回の提携は、Googleが自社開発する「テンソル処理ユニット」(TPU)の外部提供を本格化させたことを受けたもの。TPUはこれまで主にGoogle社内向けに使用されていたが、最近では外部企業向けにも広く提供され始めている。
この動きにより、Googleは米Appleなどの大手IT企業に加え、米Anthropicや米Safe Superintelligenceなど、OpenAIから分離・独立した競合スタートアップ企業も顧客として獲得している。
OpenAIがGoogleのTPUのレンタルを開始したことは、同社が初めて本格的にNVIDIA製以外のAIチップを活用したことを意味しており、米Microsoftのデータセンターに依存してきた従来の方針からの転換を示している。
TPUはNVIDIA GPUの低コスト代替となる可能性も
本件を最初に報道したThe Informationによれば、OpenAIはGoogle Cloud経由でTPUをレンタルすることで、推論処理にかかるコストを引き下げることを狙っている。
この動きは、NVIDIA製GPUが高価かつ供給不足となる中で、GoogleのTPUが現実的な代替手段として台頭する可能性を示すものとも解釈されている。
ただし、Googleは“最上位TPU”の提供には慎重姿勢
一方で、GoogleはOpenAIに対して、同社が保有する中でも最も高性能なTPUの貸し出しは行っていないと、Google Cloudの社員の話をもとにThe Informationは伝えている。
つまり、Googleは競合企業であるOpenAIにリソースを提供しつつも、競争上の優位性を保持するための線引きを行っていると見られる。
Googleはこの件に関するコメントを辞退し、OpenAIはロイターからの問い合わせに対して現時点では回答していない。
ただし、OpenAIがGoogleの顧客リストに加わったこと自体が、Googleにとっては大きな戦略的意味を持つ。Googleはこれを通じて、自社開発のAIハードウェアとソフトウェアの統合力を武器に、クラウド事業の拡大を一段と加速させている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

