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ネットワーク分離環境でもクラウド版Office製品を使うには? 自治体CIO補佐官が自作した、おすすめツール2選(2/2 ページ)

今回は、自治体CIO補佐官である著者が自作した、ネットワーク分離環境でもMicrosoft 365の認証をスムーズに行うための「エンドポイントトラッカー」と、職員のデジタルスキルを“見える化”する「自治体デジタル人材アセスメント」の2つのツールを紹介する。

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自治体職員の「DX力」を“可視化”するツール

 もう一つは、ここ最近の連載のテーマでもある「デジタル人材の確保・育成」に関するシステムです。

 ここで改めて、デジタル人材育成に関する内容を簡単におさらいしておきましょう。

 自治体のDXの近況ですが、技術やツールの話題が一巡すると、決まって「最後は人材」のような話題に移り、「人がいないよねー」という結論のようなものが出て、その後は雲散霧消してしまうというパターンを繰り返しているように思います。

 人を当てにしているのに、人が集まらず、育たないのでデジタル変革が進まない――。このような背景の中で、デジタル人材の問題を取り上げている資料が、総務省の「デジタル人材の確保・育成」というページです。

 ここには、外部デジタル人材の確保やデジタル人材育成に関するガイドブックが掲載されています。

 ガイドブック自体は非常に分かりやすい内容なので、ぜひご覧いただくことをおすすめしますが、ざっくりと言えば、

  • デジタル人材を「高度専門人材」「DX推進リーダー」「一般行政職員」に類型化して、
  • それぞれに相応しい育成を行い、
  • 育成では間に合わない高度専門人材については、当面の間は外部の専門的スキルを有する人材を確保する

――という流れになっています。

 筆者自身はこの内容に対して全てを賛同しているわけではありません。

 なぜならば、総務省のガイドブックの基本的な考え方として、

  • 自分たちがどの程度の能力(成熟度)にあり、
  • 足りないものが何かを認識することで、
  • その足りない能力を育成によって補っていく

――という自らを律することができる“超人”のような職員像を前提としており、筆者が見聞きする現場の職員像と乖離(かいり)しているように思えるからです。

(参照:DXが進まない自治体、職員の行動を阻むものとは……? Deep Researchが出した答えは

 ただ、それも筆者の思い込みかもしれませんし、そもそも他に良い取り組みもないので、ここを出発点として進めることで少しでも前進できるのならば、取り組む価値はあります。

 そこで、この取り組みを進めやすくするための入口になるようなシステムを作ってみました(実際は、自治体のデジタル人材育成について強い課題意識を持っている知人がいて、その方が「こういうシステムがあったらいいなー」と話していたので、それを具現化しただけです)。

 総務省のガイドブックでは、まず、自分自身あるいは自分たちの組織の状態を客観的に把握することを求めています。

そこで、それぞれの職員が「高度専門人材」「DX推進リーダー」「一般行政職員」として、どの程度の能力を有しているのかを自己分析(アセスメント)するというものです。

 利用は無料です。また個人情報の収集も行いませんので、安心して試してみてください。

 このアセスメントでは、みなさんに興味を持ってもらえるような機能を用意しています。

自身の課題に対するAIアドバイス

 アセスメントを受ける際に、自身の課題を入力しておくと、その課題に対してAIからアドバイスをもらうことができます。


アセスメント前の課題入力

アセスメント結果とAIアドバイス画面

過去のアセスメント結果の推移を表示

 アセスメント結果は「高度専門人材」「DX推進リーダー」「一般行政職員」ごとに記録が残りますので、定期的に実施することで、自身の変化を客観的に把握することができます。

アセスメント結果のPDF出力

 アセスメント結果はPDFで出力されますので、結果を組織でシェアすることができます。


アセスメント結果をPDF出力

 このようなシステムを使うことで、自身の状況を客観的に見つめることができますし、組織として何が課題なのかを分析していくこともできます。

 これまでも繰り返し書いていますが、デジタル人材育成と言いつつも、必要なスキルはデジタル技術ではないのです。

 業務課題の把握やリーダーシップなど、仕事ができる一般の社会人ならば有しているスキルの方が求められるのです。そのために、何をどのように育成していくのか、というアプローチを組織として考えていくきっかけになればいいと思います。

 次回は、自治体のデジタル人材の中で「高度専門人材」の役割について考えてみましょう。筆者自身が高度専門人材に類別されますので、筆者の経験もお伝えできるかと思います。

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