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インバウンド消費額が全国最低「9000円」の奈良、なぜ?(2/3 ページ)
訪日外国人客でにぎわう国内各地。古都・奈良では、野生のシカを間近で見られる奈良公園が人気を集め、訪日客であふれかえる。だが……。
訪問上位、宿泊下位
奈良県の訪日客は奈良公園に偏り、他エリアが極端に少ない。さらに近隣の大阪や京都に宿泊し、奈良には日帰りで訪れることが多いとみられている。
奈良県が携帯電話の位置情報データをもとに、令和5年の県内観光エリアの月別人出(推計)を調べたところ、訪日客は奈良公園エリアが最多の10月で約16万人。桜で知られる吉野エリアは最多の4月で1万4千人弱で、他エリアは多い月でも数百〜数千人しかいなかった。日本人観光客数では訪日客ほどの差はないが、奈良公園が群を抜いていた。
県によると、県内訪日客数は過去最多の令和元(平成31)年で349万5200人(推計)。これに対し同年の県内外国人宿泊者数は延べ人数でも53万5290人(観光庁調査)だった。5年はそれぞれ194万1800人、33万4410人だった。
奈良を訪れる訪日客自体は多いが、宿泊にあまりつながっておらず、観光消費額の低迷を招いている。
観光庁によると、奈良県は47都道府県中、訪日外国人の訪問率が令和元年5位、5、6年7位と上位を占めたが、外国人延べ宿泊者数では元年24位、5年26位、6年30位とふるわない。宿泊者が少ないことなどから、訪日客1人あたりの消費額は元、5、6各年とも47都道府県で最低。6年は唯一1万円を切る9千円で、トップの東京都(15万6千円)と大きな差があった。
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