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AI投資の「思わぬコスト」──企業が見落としがちな財務負担とは

「AIはもはや実験段階ではなく、実際に売上総利益率に影響している。そして大半の企業はその影響を予測すらできていない」と、SaaSの業績指標を提供する米Benchmarkitのレイ・ライクCEOは述べる。

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CFO Dive

 調査によると、企業の56%がAIコストの予測を11〜25%外しており、さらに約4分の1(24%)は50%以上の誤差が生じている。回答者の84%は、AIコストが売上総利益率を6%以上押し下げていると答え、さらに4分の1以上は16%以上の影響を受けているという。

 「この数字は全てのファイナンスリーダーに衝撃を与えるはずだ。AIはもはや実験段階ではなく、実際に売上総利益率に影響している。そして大半の企業はその影響を予測すらできていない」と、SaaSの業績指標を提供する米Benchmarkitのレイ・ライクCEOは述べた。同社は米Mavvrikの委託を受け、この調査を実施した。

高騰するAI予算

 コンサルティング企業の英Ernst & Young(EY)によれば、AIエージェントの登場が市場の勢いをさらに加速させ、企業のAI予算はこの1年で急増している。

 EYが7月に発表した調査では、調査対象企業の約21%が1000万ドル以上をAIに投資しており、これは1年前の16%から上昇している。また、35%の企業が翌年には1000万ドル以上を投資する予定だと回答した。

隠れたコストの見落とし

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(提供:ゲッティイメージズ)

 コンサルティング企業Catalysis Groupが3月に発表した記事によれば、AIを十分に理解しないまま導入すると、予想外の財務的負担を抱える可能性がある。特に、データの取得・保存・整備・セキュリティ確保にかかるコストを企業は過小評価しがちだという。

 同記事は次のように指摘する。

 「流行に乗ってAIを導入しようとする計画が、往々にして過去の業務慣行やシステムに起因する深刻なデータ課題を露呈させることになる」

企業規模にかかわらないリスク

 Mavvrikが業種・収益規模を横断する372社を対象に実施した調査によると、大企業も中小企業も同様に予測誤差の大きさに苦しんでいる。

 一方で、年商1000万〜5000万ドル規模の企業は±10%以内に収まる可能性が最も高いという。これは、こうした企業が「AIネイティブ」である場合が多く、早い段階から細かなコスト追跡の仕組みを構築してきたためとMavvrikは分析している。

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