日米で進む「小売りのAI活用」 クリスマス・年末など季節商戦で活用する際のポイントとは(2/4 ページ)
少しずつ進む、小売における生成AI活用。日米の事例を見ながら、季節商戦などで成果をあげるためのポイントを解説する。
セブン、パルコ……日本でも活用が進む
日本においては、小売業の本社業務である、経営企画部門やマーケティング部門のリサーチ業務、各部門の論点や課題の骨子作りで盛んに生成AIが使われ始めています。
セブン-イレブン・ジャパンは13種類の大規模言語モデル(LLM)を使い分けられる生成AI基盤を約8000人の全社員に展開すると発表しています。議事録や稟議(りんぎ)書の作成、商品開発、POS(販売時点情報管理)システムやSNSなどのデータ分析に利用し、いくつかの業務で効率化の成果を既に得ています。
パルコでは2023年、グラフィック、ムービー、ナレーション、音楽まで全てAIで制作する「HAPPY HOLIDAYSキャンぺーン」を展開しました。業務効率化のためではなく、世界トップクラスのデジタルクリエイターを起用し、新たな世界観の創出に軸が置かれたものといえるでしょう。
日本でも先進的な企業が、こうしたさまざまな取り組みに着手しています。今後は業務効率化以上に、顧客への体験価値提供のための生成AI活用が増加していくことが見込まれます。
生成AI活用のカテゴリーは、次の5つの分類に整理できます。
(1)カスタマーサービス/購買相談
米インスタカートの「Ask Instacart」では、生成AIが献立や必要食材を提案し、自然な会話でカート投入まで完了します。仏カルフールも対話型ショッピングボットを導入し、問い合わせと購入をシームレスに統合しています。日本でも大手ECや食品スーパーでチャット型接客の実証が始まり、年末や歳暮シーズンの問い合わせ負荷を減らす取り組みが広がっています。
(2)商品情報・カタログ生成
アマゾンは出品者向けに、商品タイトルや説明文、箇条書きを自動生成するAI機能を提供しています。これにより中小ブランドでも短期間で出品を拡大できるようになりました。日本でも日用品・食品メーカー各社が、自社ECや流通先向けに商品説明文をAIで生成し、校閲・承認の省力化を進めています。商品の種類が多く、入れ替わりの早い季節商材分野では特に有効です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.