NVIIDIA、Netflixが急成長の裏で……シャネル、グッチがブランド価値を落としているワケ:Marketing Dive
NVIDIAはInterbrandが追跡した中で最速の価値上昇を記録した一方、ネットフリックス、ウーバー、インスタグラムなどのデジタルファーストのサービスも伸びた。
ブランディング会社の米Interbrandによれば、企業全体のブランド価値は2025年には4.4%増の3.6兆ドル(約560兆円)となり、表面的には堅調に見える。しかし、個別ブランドの入れ替わりは20年以上の歴史の中で最も多くの新規参入と撤退が記録されている。
同社の評価は財務実績や市場での存在感、ブランドが購買行動に与える影響、ブランドによる顧客ロイヤリティーの形成力など、複数の要素に基づいて行われる。
Interbrandは、AIの台頭や新たなサービス分野への進出など「破壊的変化」(ディスラプション)を活用するブランドが成長している一方、従来の知名度などに頼る企業は後退していると分析している。
同社グローバルCEOのゴンサロ・ブルホ(Gonzalo Brujo)氏は、次のように述べている。
「デジタル化されたサービスとAIの台頭により、かつてないスピードで新たな勝者が生まれている。今や“変革”こそが世界のブランドを形づくる決定的な要素だ。業界を超えて革新し、新たな分野に参入し、文化的な関連性を築き、長期的なブランド戦略に投資している企業が勝っている。一方、過去の遺産に頼るブランドは成長の壁に直面している」
NVIDIAがけん引するAI時代
AI分野において最も注目を集めたのは、米NVIDIAである。同社は2024年初めてランキング入りしたばかりだが、わずか1年で36位から15位へと急上昇し、単一企業としては過去最大の上昇幅を記録した。
Interbrandのグローバル・ブランド経済学ディレクター、グレッグ・シルバーマン(Greg Silverman)氏は、NVIDIAの飛躍を「卓越した製品マーケティングと圧倒的な優位性」と評しつつも、「長期的なブランド戦略に投資しなければ、ディスラプションによってその地位を奪われる可能性がある」と警鐘を鳴らした。
多角化がもたらす成長
Netflixのブランド価値は、ライブエンターテインメントやゲーム分野への進出によって、前年比42%増加した。Instagramも前年比27%増となり、初のトップ10入りを果たした。同プラットフォームは、Eコマース(電子商取引)など新たな収益源を模索している。
一方で、Booking.com(32位)、ユニクロ(47位)、MONSTER(70位)といった新参ブランドは「一つの領域において卓越した成果を出す能力」が評価された。
成熟市場の停滞とブランド価値の下落
パンデミック後の価格上昇や経済環境の悪化により、近年成長を続けてきた業界にも陰りが見えている。特に、ラグジュアリーファッション分野では、関税問題や消費者支出の減少によりブランド価値が低下した。ルイ・ヴィトンは5%減、シャネルは8%減、グッチは35%減となり、グッチはランキング上位50位から脱落した。
また、自動車業界も、関税の影響を受けて大きな変動を見せている。Teslaはブランドイメージの低下などにより、前年比35%の下落。一方で、中国の自動車メーカーBYD(比亜迪)は初めて90位にランクインした。
依然としてトップ3は不動
2024年に続き、ブランド価値上位3社はApple、Microsoft、Amazonが占めている。しかし、長年王座を守ってきたアップルのブランド価値は4%減の4709億ドルとなり、その地位は徐々に揺らぎつつある。
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