報道機関に吉と出るか凶と出るか KDDI×グーグル、“記事利用の新常識”へ
KDDIは28日、グーグル日本法人と協業し、契約した国内メディアの記事をAIを使って検索するサービスを2026年春に開始すると発表した。
KDDIは28日、グーグル日本法人と協業し、契約した国内メディアの記事を生成人工知能(AI)を使って検索するサービスを2026年春に開始すると発表した。AIによる記事の無断利用に対し、著作権を保護する仕組みと強調するが、収益の仕組みは明確になっていない。提携していないメディアの情報が不利に扱われる懸念などもあり、健全な報道を確保する取り組みなども求められそうだ。
KDDIはグーグルの生成AIの基盤モデル「ジェミニ」や対話型AI「NotebookLM(ノートブックLM)」を活用して、提携する報道機関の記事を引用することを想定。AIは許諾を得た記事だけを読み込み、利用者に合わせて情報をまとめるとしている。
「両方に利益」も収益モデル未定
無断利用を防ぐことができる一方、結果的にネット上にあるさまざまな報道機関のニュースへのアクセスを妨げる可能性もある。
また、利用者が支払う料金体系のほか、提携にあたり報道機関がコンテンツの提供料を受け取るのか、逆にシステム利用料を支払うのかといった収益モデルは未定となっている。グーグルの広告ビジネスでは、特定の検索ワードに対し、自社サイトが上位に表示されるように事業者が入札する仕組みがある。同様の仕組みで高額入札をした報道機関のコンテンツが優先的に表示されれば、資金の余力がある大手メディアほど有利になる。
KDDIの松田浩路社長は同日、都内で開いた講演会で「利用者からするとインターネットの大海で関心のある情報をどう探し、それがどこまで正しいのか自身のリテラシーで判断している。(利用者と報道機関の)両方にメリットがある仕組みにする」と述べた。報道機関にとって吉と出るか凶と出るか、「報道の自由」を尊重する公平性のあるビジネスモデルになるか注目される。(高木克聡)
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