ハウスメーカー140社の売上高3.2%増 着工減でも増収続く
新設住宅着工数が減少するなか、価格転嫁を追い風にハウスメーカーは増収・増益を確保した。好調企業が全体を押し上げる一方、赤字企業も増加。今後は差別化と高付加価値化が生き残りの鍵となる。
東京商工リサーチが発表した全国の主要「戸建メーカー、ハウスビルダー(以下、ハウスメーカー)」140社の2024年度決算(2024年4月期〜2025年3月期)によると、売上高は合計8兆8845億円(前年度比3.2%増)、利益合計は5012億円(同2.5%増)と好調だったものの、2桁以上の高い伸び率を示した前年度(16.6%増)より鈍化したことが分かった。
販売価格上昇で売り上げ増、着工戸数は減少傾向
戸建住宅の新設住宅着工戸数(持ち家+分譲戸建)は、2021年度の42万5403戸から2022年度は39万2453戸、2023年度は35万3237戸、2024年度は34万5398戸と減少した。売上高の増収には、不動産価格の上昇や資材などのコストアップ分の価格転嫁による販売価格の上昇が寄与したとみられる。
売上高の増減収別でみると、2024年度は増収が86社(構成比61.4%)、減収が54社(同38.5%)で、2023年度(増収60.7%、減収39.2%)とほぼ同水準だった。売上高の合計額は3.2%増だったものの、増収企業は1社増にとどまった。好調な企業が増収幅を伸ばし、全体業績を牽引している構図がうかがえる。
利益面を見ると、2024年度は増益が82社(構成比58.5%)、減益が58社(同41.4%)だった。2023年度・2022年度はともに増益45.0%、減益55.0%であり、2024年度は増益企業が19社増え、改善が目立った。一方赤字企業は8社(同5.7%)で、前年度から1社増えた。
売上高トップは積水ハウス(大阪府)の1兆3121億円だった。同社は前期比2.2%増と増収を達成し、2位以下を大きく引き離した。2位は一条工務店(東京都江東区)で、前期比5.8%増の5265億円と好調を維持し、前年の4位から順位を上げた。3位は住友林業(東京都千代田区)の5190億円だった。
東京商工リサーチは「コストアップ分の転嫁は一時的に売り上げ増につながったが、販売価格の上昇が続き、購買層の負担感が強まっている。今後は、顧客に選ばれる差別化や高付加価値化の追求など、コスト増を克服する自己防衛策が求められる」と分析した。
本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約390万社)から、戸建住宅の分譲や建築事業が主力で売上高100億円以上の企業を「主要戸建メーカー、ハウスビルダー」と定義し、最新の2024年度決算を対象に集計した。
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