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「盛り付けは人の仕事」の常識を覆す マックスバリュ東海が総菜工場で実現したロボット導入の“現実解”(2/2 ページ)

マックスバリュ東海は自動化が最も難しいとされてきた「総菜盛り付け」のロボット導入をいかに実現してきたのか。

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盛り付けロボット「デリボット」がもたらした生産性と品質の進化

 長泉工場ではロボットが導入される前は、総菜盛り付け1ラインにつき7人の従業員で対応していた。しかし、「デリボット」導入後は、従業員3人とロボット4台のラインに変更。1ライン4人の少人化に成功した。

 1人当たり年間約300万円の人件費換算で、年間約1200万円の削減効果がある計算だ。2021年度と2022年度はこのライン体制で、1時間1000パック、1日7000パックの総菜をロボットアームによる盛り付け作業で製造することができたという。


デリボット導入以前は総菜盛り付け1ラインにつき7人の従業員で対応していた。導入後は、従業員3人とロボット4台のラインに変更した(スターコネクテッドロボティクスのWebサイトより引用)

 翌2023年度は、総菜盛り付け自動化ラインに挑戦。トレー供給機、盛付ロボット「デリボット」、AI検査機、MAP対応トップシール包装機(ガス置換包装)、高速自動計量値付機、ラベル貼り付け(グラム数と値段が書かれた)までつなげた完全自動化ラインを設置した。製造品目は、ポテトサラダ、マカロニサラダ、ほうれん草の胡麻和え、ひじき煮、卯の花など。

 遠藤氏は「前年度に比べデリボットの性能が向上しており、苦手だったほうれん草のような棒状・線状などの食材もうまくつかめるようになっていた」と話す。

 「異物混入などのクレームは一切なく、ガス置換包装により賞味期限も伸びたため、店舗の廃棄量も半減できた。1日で1万1400パックの製造が可能となり、業務効率はさらに向上した」(遠藤氏)

省人化の先にあるのは「人の価値最大化」 総菜工場DXが目指す次のフェーズ

 続く2024年度は、総菜盛り付けロボットの集大成の年と位置付け、きんぴらごぼうなどの新食材にも挑戦。また、デリボット自体が高精度化・高速化・スリム化したのも大きい。2023年度までのロボットでは、1時間当たり平均250パックの製造量だったが、2024年度に導入した最新型では1時間あたり300〜400パックの製造が可能になった。

 遠藤氏は「盛り付けロボットがコンパクトになり80センチ四方の大きさになったため、10メートルもあれば総菜盛り付け自動化ラインが作れる。ガス置換ラインを組まなければ最小で5メートルでも構築できるかもしれない。狭小工場でも導入できるだろう。また、コンパクトになったため清掃時間も半分になった」と話す。

 さらに、繊細な手さばきも可能になり、ロボットアームが指定された分量よりも多く盛り付けしてしまった場合、自らの手で取り除くことが可能になった。

 自動化が進む中で、同社は従業員の役割を「減らす」のではなく、「変える」という選択をしている。遠藤氏は「単純なものをロボットに、手の空いた従業員には別の部署にいってもらい、より高度な作業に従事してもらっている。また、これだけロボットが精度高く学習できたのは、日々一緒に働くパート従業員が、ロボットを自分の飼い犬のように優しく育ててくれたからこそ」と話した。

 投資対効果について、遠藤氏は「デリボットも最初の型に比べ価格が安くなっている。それでも高価ではあるが、導入後2〜3年で回収できると思う。より高度な業務に従業員を当てることができるため、従来よりも商品の味が良くなるように改良などに多くの時間を割けるのでは」と期待を込める。

 今後は、長泉センターで得た知見ノウハウを生かし、自社工場で総菜盛り付け自動化ラインを横展開させていく予定だ。最終的には、このシステムを「総菜工場市場に拡大させていきたい」と遠藤氏は話した。

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