「代理店・AI任せ」のマーケターが陥る“勘違い” 広告設計における「順序」の重要性とは(2/2 ページ)
EC広告やWeb広告を「代理店に任せている」「AIで最適化させている」という言葉を、当たり前に耳にするようになりました。利便性は高まる一方で、広告の基本的な設計を自身が理解できていない、という問題が起きてしまう可能性もあります。
広告を「育てる」ための順序設計
私が一貫して重視しているのが、広告クリエイティブの順序設計です。
生成AIの普及によって、広告クリエイティブを大量に作るハードルが劇的に下がりました。そんな中、「いきなり画像」「いきなり動画」から作り始めてしまうと、検証コストが一気に跳ね上がります。
一方でテキストは、低コストで高速に、そして構造的に検証しやすく、なにより再現性が高い。だから筆者は、次の順序で広告を育てることを推奨しています。
(1)まずはテキスト(検索広告)で価値を見極める
最初に行うべきは、「どんな悩み・欲求を持つ人がどれくらいいるのか」を把握することです。検索広告は、顧客の“今まさに探している言葉”が可視化される、極めて優れた検証装置です。
どのキーワードだと反応があるのか、どんなコピーを使うとCTR(Click Through Rate:広告のクリック率)が改善するのか。「刺さる言葉=価値の核」を見つけます。
生成AIの普及で検索行動が変わっても、「問いかけ文の構造」を捉えるという意味で、このステップの本質は変わらないと考えています。
(2)テキストの価値を補強する画像を設計する
反応の高いテキストが見極められれば、次は画像化です。重要なのは「目立つ画像」ではなく、テキストで伝えたい価値を“より速く理解させる画像”を作ること。テキストと画像が同じ方向を向いて補完し合うことで、理解速度と納得度が一気に高まります。
(3)成果の出た組み合わせを動画へ拡張する
最後に動画です。動画は表現力が高い一方で、制作コストも検証コストも重いため、「当たりが見えてから作る」ことが重要となります。
反応の良かったテキスト、成果の出た画像構成を土台に動画化すれば、「外れにくい動画広告」に近づきます。
広告は「集客手段」ではなく、事業成長の装置である
広告を単なる集客手段として扱っている限り、ROASの数字に一喜一憂する運用から抜け出すことはできません。広告は本来、商品価値を検証し、顧客理解を深め、事業全体の成長を加速させるための装置です。
代理店に任せるにしても、AIを活用するにしても、「どんな順序で、何を検証しているのか」という設計思想だけは、事業側が手放してはいけないものだと考えています。
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