価格差2倍で炎上のラーメン店も インバウンド向け「二重価格」がなかなか普及しそうにないワケ(4/4 ページ)
インバウンドの影響か、二重価格を導入するケースが増えてきた。しかし、過度な価格差を設けたり納得感薄い施策があったりで炎上することも多く、なかなか普及は難しそうだ。
吉野家では「特別メニュー」を提供
吉野家は都心の一部店舗で「Recommended menu」なるものを用意し、2000円台の鰻重定食を訴求した。日本語と外国語を併記し、国籍別に価格を分けているわけではないものの、外国人向けに高価格帯のメニューを訴求するのが大手のやり方だ。
東京・浅草のとあるステーキ店は、数千円から2万円以上まで、メニューの幅を広げて多様な客に対応している。日本人客は数千円の料理を頼むことが多いが、外国人の中には2万円以上でも安いと積極的に頼む客がいるという。これも二重価格ではなく、料理の質で差を付けている。
二重価格を導入したい飲食店からは、「外国人対応に手間がかかる」「説明に時間がかかる」という反論が来るかもしれない。だが、その場合は丁寧な説明や外国語での接客という明確なサービスに対して料金を取る施策を提案したい。外国語を話せるスタッフがいない場合「日本語以外で接客しない」というスタンスを取れば問題ない。国籍で差別しているのではなく、あくまでも店舗側の能力で区別しているに過ぎないためだ。
これまで考察したきたように、国内で二重価格を導入しようとすると、金銭面のメリットよりも、炎上・トラブルなどのデメリットの方が大きいと考えられる。インバウンド対応の一環として話題になることも増えてきた二重価格だが、導入は観光施設や公共施設に限られるだろう。
【注目】ITmedia デジタル戦略EXPO 2026冬 開催決定!
日本DX大賞受賞|抵抗、戸惑い、そして覚悟 老舗企業がDXを受け入れるまでの700日
【開催期間】2026年1月27日(火)〜2月25日(水)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】創業60年の老舗である協和海運は、スタートアップのShippioと共に通関業務のDXに挑戦しました。紙を中心とした現場をデジタル化し、さらにAIを活用した新たな事業創出にも発展させました。その結果、取扱件数は6倍に増加し、工数は5分の1に削減、トラブルはゼロを実現しました。ベテラン職人の知見とテクノロジーを融合させ、業界の変革モデルとなった本プロジェクト。その裏側で、何を考え、どのように実行してきたのか――リアルな現場の声と成果を包み隠さずお伝えします。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
富士そば「外国人観光客お断り」は悪なのか 立ち食いそば騒動が問いかけた現実
庶民の味方である立ち食いそばに、外国人観光客が押し寄せる現象が起きている。外国人観光客お断りを示す店舗もあるが、「そば」が本当の意味でも世界に愛される日本食になるためにできることとは。
セコい? 迷惑行為を防げるからOK? 訪日客激増で「二重価格」議論が過熱 失敗しない導入・運用のポイントを考える
円安環境なども背景に活況を帯びるインバウンド市場だが、一方でオーバーツーリズムなどの問題も表面化している。対策として広がっていきそうなのが「二重価格」だ。

