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「あの資料、どこいった?」からの解放 自治体の“文書地獄”を片付ける「自律型AI」の実力(3/3 ページ)

進化するAIエージェントが自治体業務を大きく変えようとしている。ファイル整理や文書作成などの単純作業をAIが自動で実行。人とAIが“共に働く”未来が現実味を帯びている。

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自治体向け“オリジナル”AIエージェントを作ってみた

 筆者はこれらの検討材料を踏まえて、自治体にふさわしいAIエージェントをオリジナルで開発してみました。製品名は「procureTech StorageManager」(ストレージマネージャー)です。

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ストレージマネージャーの構成イメージ

 まず、庁内ネットワーク上での稼働を前提に、ストレージマネージャーが庁内のファイルサーバを定期的に巡回(クロール)し、ファイルの情報を収集します。収集したファイル情報は全てストレージマネージャー内のインデックスデータベースに格納されます。

 このファイル情報は、ファイル名や作成日付だけではなく、ファイルの内容も全てスキャンしてデータベース化します。その過程でファイルのハッシュ値(独自の識別コード)を計算するので、同じハッシュ値のファイル、つまり重複保存されているファイルの検知も可能です。

 ファイルの内容は、画像やプレゼンテーションのスライドも含みます。このようなファイルは画像読み取りができるAIで全て文章として処理し、データベースに書き込みます。

 ここまでできると、ファイルの中に機密情報や個人情報が含まれることも検知できますし、このファイルが本来どのフォルダに保存されるべきかを判別させられます。つまり、Coworkと同様の機能を実現できます。

 特徴的なのは、これらを処理するための生成AIは、ローカルLLMを使用しているという点です。庁内ネットワークの完全に閉鎖された環境下でも動作します。さらに生成AIの従量課金も発生しません。また、庁内ファイルサーバを書き換えることはないので、安心して運用できます。

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ストレージマネージャーで収集したフォルダの様子

 さらにストレージマネージャーはCodexやCoworkのようなAIエージェント機能も備えており、前回解説したようなエージェントスキルも使えます。つまり、管理しているファイル情報を基に新たな文書作成も可能です。

 より自律的なAIエージェントにすることも考えたのですが、自治体にとっては不安材料が多いため、そこまでの機能は入れていません。ただ、AIエージェントは内部でコンテナ化(隔離)されているので、仮にAIエージェントが暴走してもコンテナをリセットすれば他に影響を与えないように設計しています。

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ストレージマネージャーのAIエージェント機能

 現在は庁内ネットワーク内での稼働を想定していますが、クラウドサーバでの動作も可能です。ローカルLLMではなく、通常の生成AIも使えます。Amazon S3やMicrosoft SharePoint、Googleドライブなどのクラウドストレージも巡回対象にできます。

 筆者はこのストレージマネージャーを自治体向けに無償で提供することを考えています。動作させるための機器や運用には一定のコストがかかるので、完全に無料にはできませんが、今は「SaaS is Dead」とも言われる時代です。同じようなソフトウェアは誰でも開発できる環境にあります。だからこそ、多くの自治体に使ってもらい、業務効率化につながる具体的な道筋を作っていきたいと考えています。

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