2015年7月27日以前の記事
検索
連載

「パンチくん動画」はなぜバズったのか? IKEAで品切れ続出、150億ドルのぬいぐるみ市場スピン経済の歩き方(7/7 ページ)

市川市動植物園の小ザル・パンチくんの動画をきっかけに、IKEAのオランウータンのぬいぐるみが売れている。右肩上がりのぬいぐるみ業界だが、これまでのSNSマーケティングと異なるのは……。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

ヤラセ「動物救出動画」が増加

 分かりやすいのは「動物救出動画」だ。読者も時々、インスタやTikTokで窮地に追い込まれた動物が間一髪助かったみたいな動画を目にするだろう。では、この種のストーリーがバズると分かった人々がどういう動きに出たのかというと「ヤラセ」である。

 アジア地域で活動する動物保護団体の「Asia for Animals」がSNSを6週間にわたって調査したところ、全てのプラットフォームから合計1022本の「偽の動物救出動画」が発見された。それらの総再生回数は、5億7201万3959回に達していたという。

 獣医などの専門家が動画を細かく分析すると、数々の「ヤラセ疑惑」が見つかった。例えば、地面に倒れていた猫を救助して回復させる動画では、事前に猫に薬物を投与した疑いがあるという。

 また、一部の動画では、猫、犬、ヤギをわざと巨大なヘビの前に置き、捕食される場面を撮影したものもあったという。実際、2021年には中国で「TikTokでバズりたい」という理由だけで、野良猫を、動物園の猿山に放り込んで、サルたちに襲わせた動画が炎上している。

 こうした「バズるためには手段を選ばない」というSNSの現実を踏まえれば、「第2、第3のパンチくん」を生み出そうともくろむ者が続出してもおかしくはない。ただでさえ世界的に人気があり、「ぬいぐるみ動画」はバズりやすい。海外には、日本の「シルバニアファミリー」を使って寸劇動画をアップするようなTikTokerもいるのだ。

 人間に虐待されて傷ついた保護犬と、ブサカワなぬいぐるみとの心温まるふれあいを切り取った動画が世界的に大反響。その結果、そのぬいぐるみは注文が殺到して、世界で1億個を販売する大ヒット――。そんな「SNS美談」が大バズりする日も近いのではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る