「K-POPの輸入」から「日本発の体験」を世界へ HYBE JAPANが描く「エンタメの次なる形」(2/2 ページ)
グローバルヒットを連発する韓国のHYBE。その日本本社であるHYBE JAPANが、これまでの「K-POP輸入モデル」とは一線を画す挑戦を始めている。HYBE JAPAN音楽映像事業本部のイ・スヒョン代表、IMAGICA EEXやヒビノのキーマンたちへの取材を通じ、エンタメビジネスの新境地をひも解く。
入場料は5000円弱 いかにして「体験価値」を算出したか?
入場料は平日4500円、休日4900円に設定した。この価格設定には、明確なロジックがある。
イ事業代表は、価格設定に当たり国内の主要な体験型エンターテインメントの市場価格を、徹底的に調査したという。さらに、自社が過去に実施したVRコンサート(4400円)や、リアルなライブチケットの価格帯との比較した。
「どの程度の価格が妥当か、非常に悩みました。しかし、提供する価値を総合的に考慮して、この価格を設定しました」(イ事業代表)
ヒビノの東田高典事業戦略担当部長も、ビジネス面での合理性をこう補足する。
「最新の3次元LED技術や3Dコンテンツ制作は一定のコストが伴いますが、今回のように長期にわたって開催するイベントであれば、投資対効果(ROI)を見込みやすくなります」
「ボトムアップ」が未来のビジネスを作るワケ
イ事業代表は、このプロジェクトが、現場社員によるワークショップから生まれたものだと明かす。
2024年にイ事業代表は、コンテンツ事業に携わる社員を集め、1日かけた「数字度外視のアイデアプレゼン大会」を実施した。そこで生まれたアイデアの1つを実現させると約束し、町田チーム長ら現場の情熱を吸い上げた形だ。
「韓国本社にも知見はなく、まさにゼロからのスタートでした。このプロジェクトを通じて、新しい企画を生み出す仕組みが社内にできました。これは企業としての大きな資産です」(イ事業代表)
現場に考えさせ、成功体験を積ませることで、「IPを預かる会社」から「IPやコンテンツを創出・運用する会社」へと組織のDNAを進展させているのだ。HYBE JAPANの視線は、既にミュージアムの先にある。
「このミュージアム形式のビジネスモデルを確立し、将来的には東京だけでなく他の主要都市や地方、そして韓国や海外へも輸出できればと考えています。さらに、HYBE以外の日本のアーティストに対しても、これをビジネスモデルとして提供できれば、日本のエンタメ業界全体に寄与できるはずです」(イ事業代表)
体験が資産になる時代の「勝者の条件」とは?
以前のレポートでもHYBEはエンターテインメントを手掛ける企業であると同時に、新しい技術を積極的に活用する企業であることを、紹介してきた。オールインワンアプリ「Weverse」や、AIオーディオ企業の「Supertone」など、IPビジネスを手掛ける裏で、次の新事業を創出しようとしている。
加速するAIやデジタル技術を「機会」と捉え、いかに人間の感情に訴えかけるCX(顧客体験)を生み出すか。HYBE JAPANが新宿で見せているのは、テクノロジーとエンタメを掛け合わせ、アーティストが不在でもファンを熱狂させ続ける、「次世代型エンタメ」の挑戦といえる。
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