NTTドコモグループ、4万人がAI活用 現場で花開く「Copilotエージェント」活用アイデアをのぞく:AIエージェント活用コンテスト開催
従業員4万人以上がMicrosoft 365 Copilotを利用しているNTTドコモグループが、AI活用による業務効率化のアイデアを披露するイベントを開催した。
NTTドコモグループがAI活用に本気だ。AIツール「Microsoft 365 Copilot」の有償ライセンスを従業員4万人以上に付与している。月間アクティブユーザー率は94%に達して、1人当たりの業務削減効果は月10時間を超えてなお増加傾向にある(2026年3月末時点、Microsoft Viva Insightsの統計データを基に算出)。
同グループが期待を寄せるのが「Copilotエージェント」だ。ユーザーが指示した特定のタスクを自律的に処理でき、業務のさらなる効率化につながる。各社が持つCopilotエージェントの活用アイデアを共有するために、グループ横断のイベント「Copilot万博」を2026年2月に開催した。
「AIは“ただのITツール”ではなく、『Copilot(副操縦士)』として最大限に活用してください。相棒がいる世界を当たり前にして、人間がクリエイティブな仕事にシフトすればグループ全体を楽しくてワクワクする会社にできるはずです」――グループの“AI大臣”ことNTTドコモの井尻周作氏は、こう述べた。
NTTドコモグループは「AIファーストの働き方」を目指して、業務で使う「Microsoft 365」と親和性が高いCopilotを導入した。会議や資料作成といったグループ共通の業務をCopilotで効率化して、事業や業務ごとの専門領域はそれに特化したAIで補助する。
AI活用を推進するための施策やノウハウをグループで共有する体制をつくり、「Copilot利活用サイト」でガイドラインやプロンプト集、学習キットなどを公開。部署やアプリケーションごとのCopilot利用状況を確認して、利用率を上げるための施策を展開している。ユーザーコミュニティーの統合や社内制度の充実化も検討中だ。NTTドコモビジネスの椿田晃大氏は「優れたAIエージェントを誰もが使えるようにすること、削減した業務時間をどのように有効利用するか考えることが大切です」と語った。
Copilot万博で披露された実践的な活用アイデア
Copilot万博の目玉イベントが、Copilotエージェントの活用アイデアを披露するピッチステージだ。100件を超えるアイデアやユースケースが集まり、選考を通過した10チームが発表した。NTTグループ全体にオンライン配信を行い、視聴者数は2000以上。注目度の高さがうかがえた。
審査員は、NTTドコモ、NTTドコモビジネス、NTTドコモ・グローバル、NTTドコモソリューションズのCAIO(最高AI責任者)や執行役員たち。審査員評価と視聴者の投票で受賞チームを決めた。登壇した10チームは、プロトタイプを作って効果を検証するなどハイレベルな発表だった。受賞した5チームのアイデアを紹介する。
インパクト賞:コンサルコーチエージェント
導入効果が最も高いと見込まれる発表に贈られる「インパクト賞」の受賞チームは、NTTドコモソリューションズのコンサルスキル向上委員会だ。システム開発を得意とする同社は、上流工程であるコンサルティングの比重を増やそうとしている。「上流案件の取り組み方が分からない」「多様なコンサルティング手法を使いこなせない」といった課題を解消するためにCopilotエージェントを使った。
Microsoft 365 Copilotの「Agent Builder」を使って、「匠Method」などのコンサルティング手法に特化した「専門エージェント群」とコンサルティングコーチエージェントの「コタローくん」を開発した。コタローくんが相談の受け付けやアプローチの検討を支援して、使う手法が決まったら専門エージェントに引き継ぐ。一つのエージェントで全てを完結させようとすると回答精度が落ちたため、マルチエージェントの体制にした。
コンサルティング部門で新人の育成やアウトプットの高品質化に役立てており、ユーザーの稼働時間を月30%削減できる見込みだ。審査員の井尻氏は「ソフトウェア開発は職人技になりやすいため、暗黙知を形式知化して蓄積したり育成に役立てたりすることで大きな効果が期待できます」と講評した。
テクニック賞:問い合わせ運用のAI改善サイクル
テクニックが優れていたとして受賞したのは、NTTドコモビジネスのDDM部門マスター運用チームだ。マスターデータを運用する際、電子メールでやりとりするため「属人化しやすい」「AIを導入しにくい」などの課題があった。
同チームは、問い合わせを「Microsoft Teams」で完結させられる業務プロセスに変更してAI導入の土台を整えた。「Microsoft SharePoint」に設けたQ&A表に質問と回答がたまるようにして、Copilotエージェントの情報ソースにする。Copilotエージェントが社内外の情報ソースを参照して生成した回答案を人間が見て、適切な内容であれば「グッドボタン」で評価する仕組みを「Microsoft Power Automate」で構築。正誤評価を基にCopilotエージェントの回答精度を向上させる。
従来は最長 2時間かかっていた一次応答までの待機時間がなくなった。「人間の回答を蓄積して情報ソースにする」「フィードバックを改善に生かす」といった仕組みのため、「あるものから始められる」と同チームは説明した。審査員を務めたNTTドコモビジネスの大土拓氏は「Copilotを使い倒すためにはシステムやエージェントの連携とデータが必要です。この発表は『品質の良いファクトがそこにある状態』をつくれる仕組みです」と評価した。
スケーラビリティ賞:決裁文書作成支援パットリ+
横展開できる点が評価されたのが、NTTドコモ・グローバルのCopilot活用推進チームによる「決裁文書作成支援パットリ+」だ。グループ独自の作法がある決裁文書の検索や作成を支援するCopilotエージェントを開発した。
ユーザーの質問内容を基に、業務委託契約書なのか押印申請書なのかといった文章のパターンを判別。フォーマットに沿った文書案をCopilotエージェントが提示し、ユーザーは微調整して申請できる。決裁文書や社内規定をMicrosoft SharePointに格納して、過去の情報を見返せる機能も付けた。
約50人が1カ月使った結果、約14時間を削減できた。決裁文書の品質が上がることで、承認者やバックオフィス担当の負担も減らせると見込む。NTTドコモソリューションズの長谷川卓氏は「等身大の課題に向き合ってAIエージェントを作ったことに感動しました。決裁システムはグループ共通ということもあり、AIが会社の中に組み込まれていると強く感じます」とコメントした。
ユニーク賞:AI活用加速コーチ「オーティン部長」
アイデアの独創性を評価されたチームがドコモ・テクノロジの「TEAM 離見の見」だ。「AIを使える環境が整ったのにAIスキルが追い付いていない」という課題を解決するために、AI活用を成功に導くコーチ「オーティン部長」を開発した。
オーティン部長と会話したユーザーのAI活用レベルを判定して、取り組むべき宿題、受講すべき研修、取得すべき資格などを指南する。作者の上司へのヒアリングを基に、熟練者のコーチング技術をCopilotエージェントに組み込んだ。深掘りする質問や相手のレベルに合わせた言葉選びなど「医者が診察するような対応」ができる。
自身に適した学習コンテンツをすぐ見つけられるため、従業員の迷う時間をなくせると開発者は説明した。NTTドコモ・グローバルの小川真資氏は「AI活用のスキルレベルをAIで引き上げるという発想がユニークでした。AIによる課題解決は、これまでの枠組みにとらわれないことが重要です」と評した。
最優秀賞:PPT自動生成エージェント
最優秀賞に輝いたのは、NTTドコモのチームが開発した「PPT自動生成エージェント『パワポ職人』」だ。同社のテンプレートや仕様に沿った「Microsoft PowerPoint」のスライドを生成する。
レイアウトやフォントなどを定義して、裏側でPythonを走らせてスライドを出力する。「スライド風の画像」を生成するのではなく、編集可能なMicrosoft PowerPointファイルを出力できるのがパワポ職人の強みだ。
15ページ分のスライドを約10分で出力できる。人間が50分かけて編集したとしても作業は1時間に収まる。審査員の井尻氏は「Copilotの可能性を着実に引き出していると感じます。ライセンス料により見合う活用を遂げるためにも、今後さらに踏み込んだ取り組みを進めてほしい」と期待を込めた。
Copilotをグループの資産として育てる
ピッチステージを振り返って、NTTドコモソリューションズの川口篤史氏は講評を述べた。
「発表チームは、業務をどのように変えるかまで考えられており、実装レベルに達していました。業務のどこにボトルネックがあるのかを切り分けて、業務を定量的に評価している点が素晴らしいです。Copilotを戦略的に活用して、NTTドコモグループの財産として育てましょう」
NTTドコモビジネスの森信拓氏は「今日からやりたくなるアイデアばかりで興奮しました。使った人はフィードバックをしてください。誰かが一方的に作るのではなく、改善し合えると成果が向上します。Microsoftが困るくらいコンピューティングリソースを使ってください」と言って笑いを誘った。
ゲストに招かれた日本マイクロソフトの二宮稔恵氏は「NTTドコモグループさまのCopilot活用量はトップクラスです。質の高さを伴っており、経営陣のコミットメントと現場の熱量でこれだけの成果が出るのだと分かりました」と評価した。Microsoftは、AIを使った業務改革に取り組む企業を「AIフロンティア企業」と呼んでおり、NTTドコモグループもAIフロンティア企業になれると二宮氏は強調した。
成功裏に終わったCopilot万博。事務局の担当者は、AI活用の推進時に「現場の知見が十分に集まらない」「どの業務でCopilotをどのように使えば成果につながるか分からない」といった課題に直面したと明かす。勉強会を開くなどして汎用(はんよう)的な利用を定着させるとともに、イベントやコンテストで現場発の活用事例を募った。「集まった成果や活用方法を標準化して横展開する」「『AIを当たり前に使う働き方』を明示して企業風土を変える」といった施策をグループ一体で推進したことが成果の最大化につながった。
NTTドコモグループもCopilotも進化を続けている。Microsoftは、CopilotエージェントをMicrosoft 365アプリケーションに組み込んだ新機能「Agent mode in Word」「同Excel」「同PowerPoint」を2026年春にリリースする。新機能とNTTドコモグループの熱量から次はどんな活用アイデアが生まれるのか楽しみだ。司会の事務局メンバーは「良いCopilotライフをお過ごしください!」とイベントを締めた。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年4月26日












