2015年7月27日以前の記事
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なぜ「ナイキ」は中国で苦戦しているのか 「アディダス」「On」 好調の競合企業から学ぶべきこと

米ナイキは中国で苦戦している。一方、スポーツブランド「On」や「Hoka」は、特にランニングを中心としたスポーツ参加の増加を追い風に、2桁成長を達成しており、アディダスも好調だ。

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 米Nike(以下、ナイキ)の中国における苦境が明らかになりつつある。運営上の失策が、激しい国内競争と消費の冷え込みと衝突し、外国ブランドに対する反発だけでは説明できない、同社の実行面の問題を浮き彫りにしている。

 グレーター・チャイナ(中華圏)は同社の世界売上高の約15%を占め、北米に次ぐ第2の市場である。このため業績回復はとりわけ急務であるが、経済減速と長期化する不動産危機が、中国の消費者の購買力を抑制している。

 同時に同社は、急成長する中国国内競合の安踏体育用品(Anta)や李寧(Li Ning)に市場シェアを奪われている。これらの企業は機動的なサプライチェーンと広範な店舗網を活用し、競争力のある価格の商品を中国内陸部にまで浸透させている。

なぜ「ナイキ」は中国で大苦戦しているのか

 問題の焦点は明確である。中国における収益の足かせは、市場の寛容さが低下する中で実行力の弱さを露呈している。

 ナイキは中国市場で6四半期連続の減収を記録している。12月に報告された直近四半期では17%の減少となり、最高経営責任者(CEO)のエリオット・ヒル氏は、中国を同社の世界的な業績回復における「最も長い道のり」と位置付け、戦略の「リセット」が必要であると認めた。


提供:ロイター、以下同

 業界関係者によれば、問題は外国ブランド離れの進行以上に根深い。プレミアムブランドとしての位置付けの低下、在庫管理の停滞、運営効率の悪さが指摘されており、これらが機動力の高い国内競合に対する遅れにつながっている。

 「中国で苦戦しているグローバルブランド――ナイキ、スターバックス、ハーゲンダッツ――は、中国の消費者が外国ブランドを買いたがらないからシェアを失っているわけではない」と、調査・戦略コンサルティング会社ApertureChinaの創業者ヤーリン・ジアン氏は述べた。「プレミアム価格で販売しているにもかかわらず、その価格に見合う価値を消費者に十分に示せていないことが問題である」

 ナイキは3月31日に予定される第3四半期決算発表を前にしたクワイエット期間(情報開示を控える期間)に入っているため、コメントを控えた。LSEG(ロンドン証券取引所グループ)の集計データによれば、アナリストは同社の売上総利益率が6四半期連続で低下し、売上高も0.3%減少すると予想している。

 また中東での戦争は新たな不確実性要因となっており、原油価格の上昇に伴う原材料コストの増加が企業に重くのしかかる見通しである。

「アディダス」「On」 好調の競合企業から学ぶべきこと

 ナイキの苦戦は、中国で成長を続けるいくつかの外国競合と対照的である。スポーツブランド「On」や「Hoka」は、特にランニングを中心としたスポーツ参加の増加を追い風に、2桁成長を達成している。

 長年のライバルであるアディダスも回復を果たした。2023年に中国で5四半期連続の減収を経験した後、再び成長軌道に戻り、2025年までに10四半期連続の増収を記録した。

 この回復は、より明確なローカル重視戦略によって支えられた。製品サイクルの短縮と、中国の消費者の新規性志向に合わせたデザインの導入である。現在では、中国向け製品の約60%が現地で設計されており、この戦略転換以前の約10%から大幅に増加している。

 「アディダスはアパレルやスニーカーのモデルを見直し、われわれの文化を尊重しようとしている。一方ナイキは、柄や配色、グラフィックを変えるだけで、十分とは言えない」と、あるコンセプトストアのオーナーでナイキの卸売パートナーは語った。ブランドについて率直に話すため、匿名を条件とした。

 「ナイキの大ファンとして、アディダスの方が優れているとは言いたくないが、時には競合から学ぶ必要がある」

 匿名を条件に取材に応じたナイキ中国の元社員2人と現役社員1人によれば、構造的な問題がブランド上の課題をさらに悪化させている。トップダウン型の意思決定文化が現地需要への対応力を鈍らせ、消費が減速する中で販売不振の商品を小売パートナーに押し込む試みが繰り返され、在庫問題を深刻化させたという。

 過剰在庫を解消するための頻繁な値引きは、ブランドイメージと卸売関係の双方を損なったと彼らは指摘する。

 米データ分析企業Morningstarのアナリストであるデービッド・スワーツ氏はは、アディダスの回復が、ナイキの中国における再建可能性を示していると述べた。「必ずしも負のスパイラルに陥る必要はない」

 コンサルティング会社Conduit Asiaの創業者で、大中華圏における元ナイキのブランドディレクターであるウェイ・カン氏は、最近のマーケティング施策から同社が変化し始めている兆しが見られると指摘する。中国の旧正月キャンペーンでは、現地のユーモアを取り入れることで消費者の共感を得たという。

 「全てが順調なときには『Just Do It』というメッセージは時代の空気に合っているが、ここ数年は中国の人々の感情には合っていなかった」

Copyright © Thomson Reuters

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