なぜ、今「会社に戻る」のか フリーランス→正社員が2.8倍の背景(3/5 ページ)
フリーランス人口は増え続ける一方で、正社員に戻る人も急増している。転職数は5年前の約3倍に拡大。収入構造の現実やAIによる仕事の変化が背景にあり、キャリアを「再設計」する動きが広がっている。
「作り手」から「設計者」へ
急速に進化するAIの影響も大きい。Hajimariでは、生成AI関連のフリーランス案件単価は他職種に比べて月10万〜20万円高い傾向があり、要件定義や設計といった上流工程の求人は、この1年で10%増加した。一方で、コーディングなど下流の実装系業務は単価が下がり、求人数も5%減少している。
この傾向は、IT領域に限らない。世界最大のフリーランスプラットフォームを運営する米Upworkのデータによると、生成AI登場後にライティングの求人が33%減少するなど、AIに代替されやすい定型業務の縮小が確認されている。
AIがコードや文章を生成できるようになったことで、仕事に求められる能力が変化している。例えば、エンジニアの役割は自らコードを書く「作り手」から、AIに的確な指示を出してプロジェクト全体を統括する「設計者」へと移りつつある。何を作るか、なぜ作るかを判断する上流工程の価値が相対的に高まっている。
だが、上流の仕事をこなすには、下流の経験が不可欠だ。コードを書いた経験があるからこそ、AIへの指示が的確になる。フリーランスには教育や研修の機会が乏しく、間違いを指摘してくれる先輩や仲間から学ぶ環境もほとんどない。
日本労働組合総連合会の調査では「将来の展望がある」と回答したフリーランスの割合が2023年から2024年にかけて20代で13.5ポイント、30代で14.7ポイント、40代で13.2ポイントそれぞれ低下した。先行きへの不安が広がっていることがうかがえるわけだが、組織に属していれば、研修などを通じて上流工程への移行を図りやすい。
加えて、藤井氏は「企業が持つデータにアクセスできないフリーランスは、重要度の低い周辺業務にとどまりやすい」と指摘する。AI開発では、企業が持つ大量のデータが不可欠だが、情報セキュリティの観点から外部人材にはアクセスが認められないケースが多いためだ。成長機会や環境面の差も、正社員回帰の判断を後押ししている。
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