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なぜ、ノジマは“斜陽ビジネス”の買収を続けるのか 「日立家電」買収に潜む狙いと懸念(1/3 ページ)

ノジマが日立の家電事業を買収すると発表し、話題を呼んだ。同社はこれまで、VAIOの買収なども行っている。いずれも絶好調とは言えない事業だが、どのような狙いがあるのか。

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著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


 首都圏で家電量販店を展開するノジマは4月、日立の家電事業を買収すると発表した。日立グループが国内外で展開する家電事業を新設する会社に移管した後、ノジマが新設会社の株式80.1%を取得する(取得価額は約1100億円)。

 白物・黒物家電は日本のお家芸だったが、2000年代から中韓勢が台頭し、海外市場ではシェアを落とした。国内市場も安価な中国製がシェアを伸ばしている。事業環境が悪化する中、大手電機メーカー各社は家電事業の再編・売却を進めてきた。日立の撤退により、国内の家電市場は「ノジマの日立家電」対「パナソニック」の構造となる。


日立の家電を買収すると発表したノジマ(出所:プレスリリース)

本音は「低収益事業からの撤退」か

 日立グループの家電事業は現在、日立製作所傘下の日立グローバルライフソリューションズ(GLS)が展開している。海外事業は2021年にトルコの家電大手アルチェリクに売却済みで、日立の持ち分は4割しかない。ノジマへの事業売却に当たり、日立グループは国内外の家電事業を新設会社に集約。アルチェリクは日立ブランドの家電事業から撤退し、最終的に日立グループは国内外家電事業の持ち分19.9%を保有する構図となる。

 売却理由について日立は、家電市場における顧客ニーズの多様化を挙げる。また、実店舗を持つノジマが「販売およびサービスの現場で『お客さまの声』を汲み取る」「日立が培ってきた高度かつ高信頼な製造技術で、より速く、より高い次元の製品を生み出す」と説明。日本のモノづくりの強化に貢献していくとしている。だが、収益の低い家電事業から撤退したいというのが本音だろう。

 日立製作所の2025年度売上高は10兆5867億円で、営業利益は1兆1992億円、営業利益率は11.3%。一方で家電事業を担う日立GLSの売上高は3404億円で、営業利益は158億円。営業利益率は5%を下回り、規模と収益性の観点から家電事業の重要性は低い。日立製作所は重電が祖業であり、発電所や鉄道、エレベーターなどのビルシステムが主力事業だ。ITを活用したインフラ事業を同社は「Lumada」と呼んでいるが、同事業の2025年度売上高は4.1兆円に及ぶ。

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