NTT東日本、5年でSE応募者数3倍 約2年で担当が替わる部署で、なぜ改革は続いたのか(1/6 ページ)
5年間でSEの新卒応募者数を3倍以上に押し上げたNTT東日本。「もはや学生が憧れる企業ではない」という危機感から始まった改革が一過性で終わらないよう、4人の新卒採用担当者がバトンをつないだ。その取り組みを取材した。
「もはや学生が憧れる企業ではなくなっている」――2020年、NTT東日本のSE(システムエンジニア)の新卒採用担当者は危機感を抱いていた。
この危機感を出発点に、同年末から始まったインターン改革は、5年間でSEの応募者数を改革前の3倍以上に押し上げた。
しかし、その道のりには大きな壁があった。新卒採用担当者の任期は通常2〜3年のため、担当者の交代によって培ったノウハウや思想が途切れる恐れがあったのだ。取り組みを一過性で終わらせないために、4人の担当者が5年にわたりバトンをつないだ。
社内を巻き込み、SE特化型インターンをゼロから構築した「改革期」、カリスマ性に依存せず持続可能な仕組みに落とし込んだ「定着期」、そして採用規模を拡大させた「発展期」。それぞれの期で前任者の思いを引き継ぎ、役割を果たした担当者たちを取材した。
4人の採用担当者。左から伊藤信吾氏(現・グローバルビジネス推進室 アジア事業開発担当 担当課長)、五十嵐貴大氏(現・クラウド&ネットワークビジネス部 REIWAネットワークサービス担当 課長)、小野寺惟文氏(現・経営企画部 中期経営戦略推進室)、田邉朔弥氏(総務人事部 人事第二部門 採用人事担当)。(画像:編集部撮影)
危機感と違和感から始まったインターン改革
改革は、伊藤信吾氏(現・グローバルビジネス推進室 アジア事業開発担当 担当課長)が抱いた冒頭の危機感から始まった。
その背景には、就活生の価値観の変化があった。終身雇用を前提とせず、ファーストキャリアから転職を見据え、「個の力を高められるか」を軸に企業を選ぶ学生が増加。コンサルや総合商社への人気が高まる一方、NTT東日本のような大企業は「若いうちから成長できる環境」という観点で、ファーストキャリアとしての優先順位が下がりつつあった。
加えて、NTT東日本の経営層の採用方針と現場の採用実態にもギャップがあった。伊藤氏は「会社はクラウドの専門人材を育てたいと考えている一方で、採用は総合職採用のままでした」と話す。
同氏と共に改革期を担った、五十嵐貴大氏(現・クラウド&ネットワークビジネス部 REIWAネットワークサービス担当 課長)も同様の違和感を覚えており、「どうすれば、この実態を変えられるのか」と連日議論を重ねた。
議論を経て、最終的に2人は改革の軸を「インターンシップ」に定めた。会社説明会は一方的な情報提供にとどまり、学生の能力や志向を見極めることが難しい。一方、インターンは企業が内容を自由に設計できる。「取り組みを通じて学生の意欲や適性、相性を把握できると思いました」と伊藤氏は話す。
インターンを設計するにあたり、他社の事例を調べた。1dayインターンで何万人もの学生を集める大手小売業の取り組みは参考になったが、「ITは目に見えるものを売っているわけではない。1日で魅力を伝えるのは難しい」と判断。一定の期間を取り、現場のリアルを学生に提供する方法を模索した。コロナ禍で対面開催が困難な時期だったが、「オンラインでも、社員が実際に働いている風景が見えるか」にもこだわった。
その結果生まれたのが、SEの実務を5日間かけて体験するインターンだ。学生は100ページに及ぶテキストでSE業務に必要な基礎知識を学ぶ。それに加え、架空の行政が進める未来都市プロジェクトの一部として、中学校のICT機器およびネットワーク・サーバー設計プロジェクトのプロポーザル(企画競争)を体験する。
学生は依頼書や仕様書、学校の図面などの資料を読み込んだ上で、どのようなネットワークを導入するか検討し、NTT東日本の社員に提案する。長年SEとして現場で働いてきた2人が、入社後にミスマッチが発生しないよう、現場で実際に直面する要件整理や提案の難しさを徹底的に再現した。その内容は学生から高い評価を受け、後の世代にも「勝ち筋コンテンツ」として引き継がれていった。
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