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「Siri AI」発表したApple幹部、競合AI企業を“暗に批判” 対Gemini巻き返しの戦略は

米Appleは6月9日(現地時間)、長らく延期されていたSiriの大規模刷新を発表した。アップグレードしたアシスタントによって、AI競争において大手テクノロジー企業や新興企業との格差を縮めることを狙う。

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 米Appleは6月9日(現地時間)、長らく延期されていた「Siri」の大規模刷新を発表した。アップグレードしたアシスタントによって、AI競争において大手テクノロジー企業や新興企業との格差を縮めることを狙う。

 カリフォルニア州クパチーノで開催した年次開発者会議「WWDC」(Worldwide Developers Conference)において、今回の刷新で「Siri AI」を導入すると発表した。Siri AIは、より自然な対話が可能なアシスタントであり、専用アプリとして提供する。ユーザーの画面上の内容を分析したり、Web上の情報を取り込んだりする機能を持つ。

 このアップデートは、Appleが大規模な機能強化を初めて約束してから2年後に実現したものであり、その間に度重なる延期が発生していた。

 Appleによると、ユーザーは過去のSiriとの会話を再確認できるようになる。また「メッセージ」内で言及された住所など、正式に保存していない情報もSiri AIが見つけ出せるという。

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Apple、2年越しに「Siri AI」発表(出所:ロイター)

Apple幹部、競合するAI開発企業を暗に批判

 今回の変更は、AppleにとってSiri再生に向けたこれまでで最も重要な取り組みである。Siriは、米OpenAIの「ChatGPT」、米Anthropicの「Claude」、米Googleの「Gemini」に後れを取っていた。これらの競合は「エージェント型AI」を日常的なコンピューティング環境へ組み込む取り組みをより迅速に進めている。

 Appleのソフトウェア部門責任者であるクレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)氏は基調講演で「一部の企業は、人々のために役立てるという明確な視点を欠いたまま、AIそのものを目的としてAI開発を推し進めているように見える」と述べ、競合するAI開発企業を暗に批判した。

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Appleのティム・クックCEO(出所:ロイター)

 AppleはAI機能の構築において競合各社とは異なるアプローチを採用している。競合が完全自律型の「エージェント」を目指す一方で、Appleはその表現をほぼ避け、日常業務に自然に組み込まれた実用的な機能を重視している。

 米国の市場調査会社TECHnalysis Researchの社長兼主任アナリストであるボブ・オドネル(Bob O'Donnell)氏は「これは15年前にSiriが掲げた約束をようやく実現するものだ」と評価した。同氏はさらに「これは一般ユーザー向けのAIであり、本格的なエージェント型AIではない。多くの人にとって、求めているのはこの種の知的支援機能である」と述べた。

 ただし、アナリストによる初期評価は慎重なものだった。独立系株式調査会社である米MoffettNathansonのアナリストであるクレイグ・モフェット(Craig Moffett)氏は「画期的な変化とまでは言えないが、Siriを信頼できるチャットbot、さらには信頼できるエージェントへと発展させる可能性がある」と述べた。

 Apple株は同日のナスダック市場で1.9%下落し、301.54ドルで取引を終えた。

「Siri AI」 一部でプライバシーへの懸念も

 AppleはAI戦略の一部でパートナー企業の技術も活用している。同社によると、一部のモデルはGoogleのGemini技術を利用して構築した。また、より大規模なモデルは米NVIDIA製チップを使用するクラウドインフラ上で動作する。

 一方でAppleは、個人データのプライバシーを維持すると強調した。処理の大半はユーザーのデバイス上、または外部からのアクセスを遮断するよう設計した同社独自のシステム上で実行するという。

 しかし、Siri AIがユーザーの画面やアプリ内の状況を把握できるようにするには、Appleがユーザーのデジタル活動をより広く認識する必要がある。英調査企業PP Foresightのアナリストであるパオロ・ペスカトーレ(Paolo Pescatore)氏は「これは利便性とプライバシーの間に避けられない緊張関係を生み出す」と指摘した。その上で「Appleにとっての課題は、高度な知能機能がプライバシーを犠牲にする必要はないと消費者に納得してもらうことだ」と述べた。

 Appleによると、Siri AIはメッセージやメールを横断的に検索することを支援することが可能であり、画面上の内容を認識する機能によって、ユーザーが表示中のコンテンツに関連する質問へ即座に回答できる。

 新しいSiri AIで生成した画像や検索履歴は「iPhone」「iPad」「Mac」で利用できる新しい独立アプリに保存される。このアプリはAppleのプライベートクラウドコンピューティング技術によってデバイス間で同期される。その他のAI機能は全てデバイス上で実行するとAppleは説明した。

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Appleは、個人データのプライバシーを維持すると強調(出所:ロイター)

 Appleはこれまで、EUの「デジタル市場法」(Digital Markets Act:DMA)の対象となっており、規制当局からエコシステムの開放を求められている。

 同社は、プライバシーおよびセキュリティ上の懸念を理由として、Siri AIをEU域内のiPhoneおよびiPadでは「当初は」提供しないと発表した。また、中国でも規制対応を進めているため提供しないとしている。

子どもの安全対策機能も強化

 Siri以外にも、Appleは複数の小規模アップデートを発表した。その中には、子どもによるアプリ、Webサイト、連絡先へのアクセスを保護者が管理できる新しい安全機能が含まれる。

 メッセージングアプリでは、刺激の強い画像をぼかして表示し、保護者へ通知する機能を追加した。これは従来のヌード画像対策を拡張したものである。

 また、画像生成ツールの機能強化も発表したほか、Webブラウザの「Safari」にAI機能を追加した。例えば、Webサイト上で商品の在庫が再入荷したかどうかを確認できる機能などが含まれている。

Copyright © Thomson Reuters

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