富士通、人事異動案の作成を「2週間→1時間」に短縮 データとAIを活用したアプリで実現(1/2 ページ)
富士通が開発したアプリによって、トラスコ中山は人事異動案作成業務の工数を約98%削減することに成功した。どのようなアプリなのか。
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富士通が開発した人事異動支援アプリが、機械工具卸大手・トラスコ中山の人事異動案作成業務の工数を約98%削減した。
トラスコ中山では当初、人事異動の初期案作成に2〜3週間を要していた。同社から相談を受けた富士通は、人事部門と伴走しながら業務内容や意思決定プロセスを整理。その上で人事異動支援アプリを開発した。その結果、業務は約1時間へと短縮。2026年4月の人事異動から実際に運用を開始しているという。
AIが人事を決めるのではなく、膨大な組み合わせの計算や確認作業を担い、人事担当者は最終判断に集中する。両社が目指した新しい人事異動の形について、トラスコ中山の大谷正人氏(人事部 人事部長)と、富士通の寺島眞生氏(Forward Deployed Engineering事業部 シニアマネージャー)に話を聞いた。
ジョブローテや独自制度で、業務が複雑化
トラスコ中山では従来、人事課長と部長の2人で人事異動案を作成していた。1回の異動で約100人規模の配置転換を検討することもあり、その組み合わせは10の158乗通りにも及ぶ。
「これまでは、社内に点在する複数のシステムやExcelで管理している人事データに加え、本人の希望や個人特性、各部署の状況なども踏まえながら、人事担当者が一人一人の異動先を決めていました」(大谷氏)
この業務が複雑化していた背景には、ジョブローテーションと各社員の事情に配慮する独自制度があった。
「当社では5年前後を目安に営業、物流、本社部署など、部門を超えたジョブローテーションを行っています。そのため、社員の異動候補先は多岐にわたります」(大谷氏)
さらに同社では、本人や家族の事情に応じて希望勤務地を申請できる「希望転勤制度」、社内外を問わず配偶者の転勤先近隣で勤務を継続できる「おしどり転勤制度」、婚姻の有無にかかわらず、交際相手の近隣で勤務を希望する際に利用できる「ひなどり転勤制度」など、社員のライフスタイルや価値観に配慮した独自制度も設けている。
制度以外にも、子どもの進学時期や育児状況といった家庭環境にも配慮する。組織全体のバランスを考慮しながら、一人一人の状況も配慮する必要があるため、初期案作成の段階で約2〜3週間を要していた。
さらに、人事異動案の作成では、人事担当者が長年の業務を通じて培った判断軸も重要になる。そのため、異動案の作成は担当者の経験や知見に依存しやすかった。しかし、同社ではジョブローテーションによって人事担当者も入れ替わる。そこで、特定の担当者に依存せず、一貫した判断基準を維持できる仕組みが求められていた。
こうした状況を受け、トラスコ中山は人事異動案作成業務の効率化と、判断基準の標準化を目指し、富士通に相談を持ちかけた。
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