“ウイルス感染USB”、陸自に続き三重県庁でも47本 「禁止」では解決しない、自治体ネットワーク分離の盲点(2/3 ページ)
三重県が庁内で使用するUSBメモリを全数調査した結果、47本からウイルスが検知された。この出来事は、自治体の情報セキュリティ対策の何を問いかけているのか。ネットワーク分離の基本原則から読み解く。
USBメモリ問題を「レベル分け」で考え直す
3つのレベル分けは、庁舎内の物理的な空間でも同じです。住民が訪れる役所のカウンターの外側は公共の空間でありレベル1、カウンターの内側は職員の執務スペースでありレベル2、重要な文書は鍵付きのキャビネットに保管しそこをレベル3とするように、物理的な空間でもセキュリティの観点で対策を施しています。
この分類は「分かりやすい」ことが重要でした。ITリテラシーにばらつきのある組織では、目に見えて説明が容易で理解しやすい対策が求められたのです。そして「情報資産の重要性に合わせた対策ができる」ことも意味がありました。分離したネットワークごとに対策のメリハリを付けることで、限られた予算を効果的に配分できるのです。
三重県や陸上自衛隊で発覚したUSBメモリのウイルス問題。これを、先ほどの3層ネットワーク分離の観点から見直してみましょう。
USBメモリは物理的な記録媒体です。データを記録し、主にデータを持ち運ぶために使われるものですが、その読み書きを常時監視することは容易ではありません。つまり、管理対象となるネットワークの外部に存在する媒体です。これは庁内のみで使用することを前提にして、利用可能なUSBメモリを個体識別し、登録管理していても同様です。
つまり、USBメモリのウイルス感染という問題は、分離された3つのネットワークの「内部」で発生しているのではなく、ネットワークの「外部」の問題だということです。そして、現実的にはUSBメモリへの意図しない読み書きを完全に防ぐことは困難です。
この観点から見ると、三重県庁の調査でウイルスが検知された事例も「十分起こり得ること」であり、決して驚くべきことではないといえるでしょう。
余談ですが、筆者が心配しているのは、むしろ「私物のUSBメモリが使われていた」ことにあります。情報資産として管理されていないことで、仮に紛失してもその事実自体が認識されないリスクのほうが大きいのではないかと考えます。
また、陸上自衛隊のケースについては、報道内容が事実であれば、本質的なリスクはUSBメモリが機密システムに接続された端末で使用されていた点にあります。USBメモリ自体のウイルス感染は、むしろ二次的な問題といえるでしょう。
筆者が主張するネットワークレベルの例で表現すれば、USBメモリは常に「レベル0」(管理外)であるといえるのかもしれません。
つまり、外部から持ち込まれたUSBメモリを庁内ネットワーク(おそらくレベル1)に接続する時点で、検疫や無害化処理を経てデータを取り込む仕組みが必要となります。
庁舎内の分離しているネットワーク間(例えば、レベル2からレベル3)でのデータ受け渡しにUSBメモリを使う場合は、以下のようになります。
- USBメモリにデータを書き出した際は、レベル2からレベル0へのデータ持ち出し
- そのUSBメモリを使ってデータを移した際は、レベル0からレベル3へのデータ持ち込み
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