2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

次々生まれる「○○ハラ」に企業はどう向き合う? カスハラ対策義務化で揺れる職場の「当たり前」(2/5 ページ)

カスハラや就活セクハラ対策が企業の義務となる。だが、現場では「どこからがハラスメントなのか」という線引きの難しさも。新たな「○○ハラ」時代に企業が備えるべきことを探る。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

企業がまず整えるべき「枠組み」

 カスハラ対策として、改正労働施策総合推進法と厚生労働省の指針では、企業に大きく4つの対応を求めている。具体的には、カスハラから従業員を守る方針を明確にして周知すること、相談窓口を設けること、問題が起きた際に事実確認や被害を受けた従業員への配慮、再発防止に取り組むこと、そして悪質な行為への対応ルールをあらかじめ決めておくことだ。

 また、相談した従業員のプライバシーを守ることや、相談を理由に不利益な扱いをしないことも求められる。対象は企業規模を問わない。従業員が1人だけの事業者も対応を求められる。

 ただし、制度や窓口を整えるだけでは十分ではない。実際の現場で、従業員が安心して対応できる仕組みを機能させることが重要になる。

 落とし穴の一つが、接客の温度差だ。同じ店でも、笑顔で丁寧に応じる従業員と、必要最低限の対応にとどめる従業員がいれば、客はその違いを比べ、その不満がカスハラの引き金になりうる。制度を整えるだけでなく、現場が同じ基準で応対できるかどうかが実効性を左右する。

photo
措置を整えるだけでは不十分?

 もう一つが、職場による意識の差。飲食や小売など店舗型の接客では、「お客さまだから我慢する」という空気は薄れつつある。店頭でのカスハラ防止ポスターの掲示や、個人名を伏せた名札の導入もその表れといえる。

 一方、企業間取引(B2B)の現場では、納期の短縮や価格の引き下げ、急な対応といった無理な要求でも、「取引を続けるためには応じなければならない」という意識が根強い。

 そのため、相手から嫌味を言われたり、過度な要求を受けたりしても、「カスハラを受けている」と認識するより、「何とか対応しなければ」という考えが先に立ちやすい。結果として、問題が表面化しにくく、見えないカスハラが積み重なっている。

 協会には、企業間取引でのカスハラ相談も寄せられている。ある会社では、受注側が「出荷の締め切りを過ぎているため対応できない」と説明しても、発注元から「今すぐやればできるだろう」「手を抜いているのではないか」と厳しく責められた。

 さらに、社内で対応を検討するため折り返しを求めると、「なぜ今すぐ対応できないのか」と説教が始まり、1時間近く電話を切れない状況になった。

 対応した営業担当者は精神的な負担から通常業務にも支障が出るようになり、会社は最終的に、その取引先との契約を打ち切った。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る