企業がポッドキャストを始めるのは、なぜ? じわじわ効く「声」の力(6/6 ページ)
企業のポッドキャスト活用が広がっている。なぜ今、企業は「声」に注目するのか。認知や採用、ファンづくりにつながる音声の強みと、継続する上での課題を解説する。
「広告枠」ではなく「資産」として
メディア施策というと、真っ先にその施策からどれだけ成果(コンバージョン)が生まれるのかを短期的に求めがちである。しかし企業が目を向けるべきなのは、成果報酬広告のように直接得られる収益だけではなく、時間をかけて積み上がる関係性そのものだ。
配信を重ねるほど、企業への理解や共感が深まり、聴き手との距離は縮まっていく。ポッドキャストは一度きりの発信物ではなく、時間とともに価値が高まる、自社メディアという「資産」になる。
ただし、成果が表れるまでには時間差がある。配信の翌日に数字が跳ねる類のものではなく、静かに、しかし確実に効いてくる。だから評価も二段構えで見るとよい。採用の効率化や広報コンテンツの省力化といった「すぐ表れる実務効果」と、リピート率や「人に薦めたいか(NPS)」に表れる「じわじわ育つ関係性」だ。
同じ水準のエンゲージメントを他の施策で得ようとした場合のコストと比べれば、その費用対効果は十分に説明できる。売り上げを直接生む装置ではない。しかし、売り上げが生まれやすい「選ばれる状態」を、ほかでは代えにくい形でつくっていくのである。
情報があふれ、いくらでも「それらしい」文章や音声をAIが生み出せる時代になった。だからこそ逆説的に、その会社で働く人の実感や、事業に向き合う人の温度感がにじむ「本当に思いを込めて話す声」の価値は増していく。一瞬の注目より、長く残る信頼を――企業がいま、もっとも人間らしさが伝わるメディアである「声」を選び始めているのは、そのためだ。
著者プロフィール:富山真明
株式会社オトバンク ポッドキャスト事業PitPa責任者。20年以上にわたりインターネットコンテンツビジネスに携わり、2018年に企業のブランディング・マーケティングを支援する「PitPa」を創業。2024年にオトバンクへ事業譲渡。これまで年間500本以上、累計2500本以上の企業ポッドキャスト制作に関わる。音声コンテンツを活用した認知獲得、顧客エンゲージメント、採用広報などを支援。
ポッドキャスト番組「で、売上になるんですか?〜ポッドキャストとマーケの話」配信中。
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