「生成AIがあればコンサル不要」論者に見えていないこと(1/4 ページ)
「経営コンサル不要論」が叫ばれているが、AIが代替できるのは情報収集や資料作成といった一部の作業の高速化に過ぎない。「AIで十分」と主張する論者が見落としているコンサルティング本来の役割と、AI活用における境界線を整理する。
日沖博道氏のプロフィール:
パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。
生成AI(人工知能)の進化が目覚ましい。それに伴いホワイトカラー全般の存在意義が根底から問われ始めている。そうした議論の中で、最近しばしば耳にするのが「生成AIがあれば、もはや経営コンサルタントなど不要なのではないか」という「経営コンサル不要論」だ。
なるほど、かつて経営コンサルタントが得意としてきた情報収集、あるいは分析作業のかなりの部分が、生成AIによって劇的に代替されつつあるのは事実のようだ。
Web上の膨大なデータや過去事例を高速で集めて整理する作業において、AIの右に出る人間はいない。各種フレームワークに基づく分析や、報告書・提案書・会議用スライドの素案作成に至るまで、今の生成AIは極めて高い精度でこなしてみせる。
事実、小生自身もクライアントに対して「生成AIで効率化できる部分は、大いに使ったほうがいい」と積極的に活用を薦めている。コンサルタント自身も、資料の叩き台作成のスピードアップのためにAIを日常的に使いこなす時代だ。
しかし、だからといって「生成AIがあれば経営コンサルタントは不要になる」と声高に主張する経営者や自称「識者」たちを見ていると、彼らはコンサルティングの本質を見落としていると言わざるを得ない。
そもそも、そうした主張をする人々は、まともな経営コンサルタントを一度も活用したことがない可能性が高い。
あるいは、社内スタッフでも対応できるような作業を「コンサルのほうが手際が良く、修正の手間が省けるから」という理由だけで外注し、本来の意思決定支援ではなく単なる「作業の代行業者」として重宝してきた実態があるのではないか。
大企業などで散見される、いわゆる「高級テンプスタッフ」としてのコンサルタント活用を標準と思い込んでいるからこそ、「AIで代用できる」という浅薄な結論に至ってしまうのだ。
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