“クールジャパン機構の二の舞”か? 2兆円支援のラピダス、2ナノ半導体工場あっても拭えぬ「顧客不在」の懸念(2/3 ページ)
“日の丸半導体”再興の切り札とされるRapidusは、東芝など半導体設計企業17社と提携した。“最大の課題”を解決し、TSMCの牙城を崩せるのか。
ラピダスが対峙するTSMC、サムスン、インテル
前例のないAI投資ブームが起きているのと同時に、半導体やコンピューティングインフラへの需要が拡大している。Rapidusはこの流れを取り込もうとしている。
同社が対峙(たいじ)する相手には、数十年にわたって製造プロセスを磨き上げ、最先端半導体の製造を支配している台湾のTSMC、2025年に2ナノメートル半導体の生産を開始した韓国のSamsung Electronics、米Intelがいる。
「TSMCは今後も市場の大半を支配し続けるだろう。しかし、市場の20%ほどの顧客は、TSMCの生産能力を利用できていない。TSMCにとって優先順位が低かったり、発注量が少なかったりするためだ」――市場調査会社の英Omdiaでアナリストを務める南川明氏はこう話す。
Rapidusの小池淳義社長は、新たな最先端半導体メーカーを支えるのに十分な需要があるという見方を示した。
「(半導体の需要を埋めるには、半導体メーカー)1社や2社では到底足りない」(小池社長)
ただし、一部の潜在顧客は慎重な姿勢を崩していない。ある企業の幹部は「すでにTSMCに半導体を製造してもらっているので、全てをRapidusに切り替えることはできない。もしうまくいかなかった場合、TSMCに戻ることはできないため、慎重にならざるを得ない」と述べた。同氏は、半導体メーカーとの協議が非公開であることを理由に、匿名を条件とした。
半導体材料メーカー、製造装置メーカーに恩恵が届くか
南川氏によると、顧客はサプライチェーンを多様化させる目的でRapidusを利用する可能性がある。また、最先端半導体の製造企業が国内に存在することで、日本の半導体材料メーカーや製造装置メーカーにも恩恵をもたらすと期待できる。
世界の半導体市場における日本のシェアは、1980年代に約50%を誇っていた。しかし現在は、10%未満に低下している。日本で事業を展開する半導体メーカーには、メモリ半導体メーカーのキオクシアや、ソニーと提携するTSMCがある。
政府は「AI・半導体」分野への投資を加速させており、Rapidus以外の取り組みとしては、フィジカルAIとロボット工学向けの基盤モデルを開発しているNoetra(ノエトラ、東京都渋谷区)などがある。
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