ご先祖様を探せ! “舶来時計”ラドー「ゴールデンホース」の場合:+D Style 時計探訪(2/2 ページ)
スーパーカブにスバル360――今なお存在感を放つ“昭和力”満点の製品が生まれた1958年、“舶来時計”として羨望のまなざしを集めたラドーの腕時計「ゴールデンホース」を紹介する。
半世紀を経て、なお新鮮さをキープする伝説の時計「ゴールデンホース」が復活
2006年10月、復刻モデルとして登場した「ゴールデンホース」は、ラドーが日本で初めて発売したゴールデンホースの初期モデルを忠実に再現した時計。初代モデルを知るゴールデンホースファンには懐かしく、また若い時計ファンにはネオクラシックな雰囲気をたたえた、“旧くて新しい時計”として迎えられた。
細部のディテールを見ると、まず風防ガラスは当時と同じ曲面仕上げ処理を施したプレキシーガラスを採用。航空機の窓ガラスなどに使用される、このプレキシーガラスの加工が行なえるのは、スイス国内でもごく僅かといわれる。また優れた耐水性能を誇るスクリュータイプ(ねじ込み式)リューズとケースバック(裏蓋)の採用による100メートル防水、自動巻きの証である文字盤上の赤いアンカーマークとタツノオトシゴ、そして外周が緩やかに傾斜する文字盤など、1958年の発売当時のディテールをほぼ忠実に再現している。
バリエーションには、過酷な精度テストに合格した時計だけが表記を許された「ゴールデンホース クロノメーター」(CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED の文字が文字盤に記載)もラインアップされている。初代モデルと復刻モデルを比べてみると、その違いは“間違い探し”レベル。現行モデルにだけ見られる外観上の特徴はせいぜいリューズガードくらいだろう。リューズのサイズ&性能アップにともない、上下両サイドからわずかにせり出したガードがリューズを保護している。また当時なかったローズゴールド(18Kローズゴールドプレイテッドケース)とブラックダイヤルの組み合わせや、クロノメーター規格をクリアした高性能モデルも現行だけの存在。
苦労してアンティークモデルを入手したはいいけど、古いムーブメントのメンテナンスに不安を覚えるなら、考えようによっては復刻モデルをストレスフリーでガンガン使った方がいいのかもしれない。
関連記事
- 時計探訪Vol.5:ご先祖様を探せ! 世界が驚嘆したエレクトリックウォッチ「ベンチュラ」
1957年、アメリカのハミルトンが世界で初めて販売した電池駆動の腕時計。そのシリーズの代表作である「ベンチュラ」は、機能に負けない斬新なスタイリングで人々を魅了し、今なお色あせない魅力を放っている。 - 時計探訪Vol.4:クロノ(時間)&グラフ(記録する)=クロノグラフ
メカ好き少年の心を持つ者を魅了するクロノグラフ腕時計。ムーブメントの機構はより複雑さを増し、部品数も通常の約2倍に。作り手に高い技術力を要求するラトラパンテなど、“計測する時計”の魅力を考える。 - 時計探訪Vol.3:ご先祖さまを探せ! 傑作時計の初代モデル セイコー「ワールドタイム」編
1964年――東京オリンピックが開催され、日本で海外渡航が自由化されたこの年に、主要都市の時刻が瞬時に分かる腕時計が発売された。セイコー「ワールドタイム」だ。 - 時計探訪Vol.2:特注バンドで“変貌”する腕時計 ジャン・ルソーでオーダーメイド体験
すっかりスルメ状態になった革バンド、そろそろ衣替えしてみては? 純正ベルトもいいけど、カラーやデザイン面はやはりオーダーメードがおもしろい。職人のセンスとアドバイスの力を借りて、筆者の時計も見違えるように生まれ変わった。 - 時計探訪Vol.1:ラテンの歴史刻むウォッチブランド「クエルボ・イ・ソブリノス」
男心をくすぐる“時計の世界”にフォーカスした新連載“時計探訪”。今回は、100年以上の歴史を持つ“ラテン”の時計ブランド「クエルボ・イ・ソブリノス」の新作イベントを紹介しつつ、その歴史と魅力をリポートする。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.