カスタマイズ性で甦るNikon F:-コデラ的-Slow-Life-
義兄から譲り受けたNikon F。さっそく分解して気になるプリズムの具合をチェック。モルト腐食がひどかったが、カスタマイズ性の高いNikon Fのおかげで……。
ホコリだらけのNikon F。まずは一番気になるプリズムの具合を確認してみたい。分解はトップの革を剥がして、4つのネジを外す必要がある。もともと革は張り替える予定だったので、惜しくはない。
Nikon Fの特徴であるとんがり屋根の部分を開けると、ファインダ部分への光漏れをカバーしていたと思われるモルトが腐食し、このカビがプリズムの銀面を剥離させてしまったようである。これさえなければ、多くのカメラが今もなお普通に使えたことだろう。本当にモルトという素材は、罪作りだ。
ファインダとしては、腐食の影が出るぐらいで使えなくはないのだが、やはり視野に常時汚れが見えるのは創作意欲を減退させる。これは銀面を綺麗にはがして、そのうち銀面蒸着などをやってみることにしよう。
幸いなことに、Nikon Fのファインダは中古カメラ店でもそこそこ手に入る。だがプリズムに腐食のないアイレベルファインダだと、3万円ぐらいする。なんと、本体よりも高いのだ。また前期と後期で若干構造が違うこともあって、すべてのファインダで互換性があるわけではない。
そこで多少価格の安い、ウエストレベルファインダを7000円で購入した。なんのことはない、要するにスクリーンをそのままのぞき込むだけの、言うなればただの素通しの枠である。こんなものが7000円かよという意見はもっともだが、とにかくF用のアクセサリはなんでも高いのである。だがこれでスクリーンを保護できるし、一応マグニファイレンズも付いている。Nikkorレンズをウエストレベルで撮るというのも、なかなか面白そうだ。
ほとんど修理いらずのボディ
ボディの革は同じく綺麗に剥がして、以前の修理で使った革の残りを使って補修することにした。
ミラー周りはレンズクリーナーで拭いたら、まったく問題ないレベルにまで綺麗になった。幸いにしてこちらは、ただ汚れていただけだったようだ。モルトもきれいにはがして張り直しである。気になったシャッター幕のカビも、アルコールで拭いたらまあ問題ないレベルにまで綺麗になった。破れたり穴が空いたりしていなかったのが救いである。
フィルムカウンターはイモネジで3カ所留まっているだけなので、簡単に掃除できた。やはり昔のカメラはネジを隠したり、飾りネジを使ったりしていないので、メンテナンスが非常に楽である。
実はNikon用のレンズは、結構持っている。以前Nikomat FTNを修理したことがあって、そのときに中古レンズを5本ぐらい買いそろえていたのだ。またマクロ用のExtention Tubeも、ジャンク屋で偶然見つけた。3つセットで2000円と、格安であった。FマウントのExtention Tubeはいまだに新品が流通しているが、普通は1段で5000円ぐらいである。
全部装着すると、かなり無骨な感じになった。EXAKTAとはまた違う感じの、メカニカルさである。さて、どんな使い勝手になっただろうか。
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