「カメラにお任せ」が進化、超解像ズームも面白い 「HDC-TM70」:フルHDビデオカメラ新時代(5)(2/2 ページ)
パナソニックのビデオカメラ「HDC-TM70」はクラス最小クラスのボディに大容量96Gバイトメモリ、超解像ズームと注目スペックを備えるが、いちばんの特徴は「カメラ任せで快適撮影」に絞り込んだ進化の方向性だ。
コンパクトで持ち歩きやすい本体と独自の使い勝手
ボディーカラーはムーンブラック1色で、女性にはとっつきにくい印象を与えてしまうかもしれないが、撮影時の重量は約302グラムと非常に軽く(日本ビクター「GZ-HM570」(レビュー)とほぼ同じ)、だれにでも扱いやすいコンパクトさを実現している。実際に手にした印象も重さを感じさせないもので、長時間持ち歩いても疲れにくいだろう。
最高画質(HAモード)/おまかせiAオン/手ブレ補正:アクティブで撮影した映像からのスクリーンショット。色のノリがややあっさりしているが、これは撮影時の天候が曇り空だったためで、空気感がよく出ているというべきだろう。ハイライト領域の粘りも感じられる。やや輪郭を強調した画づくりながら、立体感も十分味わえる
ただ、渋いブラックの見た目から受ける印象とは裏腹に、レンズ前にフィルターねじが切られておらず、アクセサリーシューや外部マイク端子などのコネクタもない。拡張性を大胆にカットすることで、周辺機器の力を借りて機能を補わずとも、本体だけで幅広いシーンに対応できることをはっきりと打ち出しているわけだ。
本体背面には動画撮影・静止画撮影・再生の各モードを切り替えるスライドスイッチを配置しているのをはじめ、本体上部に手ブレ補正とiAオートのボタン、そして液晶モニターの下には録画開始・停止やズーム、メニュー呼び出しなどのボタンと、専用のスイッチやボタンが本体の各部に数多く並んでいるのもHDC-TM70の特徴といえる。
ライバル各社はカメラ本体からボタン類を極力減らす方向で進めており、液晶タッチパネルによるソフトウェア的なボタンで代替させたり、ひとつのボタンに複数の機能をそのつど割り当てたりといった操作系が主流になってきた。本体の見た目はともかく、こうした操作系では、意図しないボタン操作を防げるメリットが得られる半面、操作の手順自体はどうしても増えてしまう傾向にある。HDC-TM70でも液晶タッチパネルにしか用意されていないボタンはたくさんあるのだが、従来のカメラに慣れ親しんだ人には、数多く並ぶボタンの存在はかえって魅力に映るだろう。
静止画は16:9/4:3/3:2と3種類のアスペクト比が選択できる。ここで掲載しているのは4:3の最高画質モード(2592×1944ピクセル)にて撮影したもので、有効画素数は232万画素だ。静止画と動画のモード切り替えは背面のスライドスイッチで行なう
HDC-TM70は、カメラ任せで撮影を楽しめることに機能を絞り込んで進化させるという、明確な性格づけがなされた製品だ。名前つきで特定個人の顔を識別できる個人認識機能も、撮影する人や撮影対象がある程度固定されるという、家庭用カメラならではの特性に注目した点で、従来の製品からの進化と可能性を感じさせてくれる。フルHDビデオカメラならではの精細な画質を確保しながら、広角側・望遠側ともに進化したズームレンズも大きな魅力で、家族の記録を中心に考えている人なら外せない候補になるだろう。
最高画質(HAモード)/おまかせiAオン/手ブレ補正:アクティブで撮影した映像からのスクリーンショット。夜の室内という難しい場面だが、ホワイトバランスが適正にとれている。新しい映像処理エンジンのおかげか、ノイズもよく抑えられている印象だ
最高画質(HAモード)/おまかせiAオン/手ブレ補正:アクティブで撮影した映像からのスクリーンショット。こちらは夜の屋外。これだけ暗いと、ディテールが甘くなってしまうのは仕方ないが、全体の雰囲気は肉眼の印象に近い
モデル:倉岡生夏(くらおか きなつ)
1991年7月17日生まれ、東京都出身、AB型。チョコレート大好き(1日約1キロ食べています)! 動画共有サイト「zoome」で「チョコ姫★倉岡生夏」ムービー日記更新中
チョコ姫★倉岡生夏:http://zoome.jp/kinatsu/
関連記事
- フルHDビデオカメラ新時代(3):上位機の画質と付加価値を注ぎ込んだ中級機 ハンディカム「HDR-CX370V」
ソニーのメモリタイプ“ハンディカム”「HDR-CX370V」は強力な手ブレ補正や裏面照射CMOSセンサー、多彩な顔検出など、同社らしさがつまった製品。シーン認識技術も投入され、さらにスキがなくなった。 - フルHDビデオカメラ新時代(2):タッチ操作と高度な自動シーン認識で安心して楽しめる、iVIS「HF M31」
キヤノンの“iVIS「HF M31」は上位機ゆずりの使い勝手をコンパクトなボディにまとめた良バランス機。タッチパネル液晶と自動シーン認識によって快適な撮影が楽しめる。 - フルHDビデオカメラ新時代(1):いま、普及価格帯の「ビデオカメラ」を選ぶ理由
映像はビデオカメラで撮るもの――デジカメやデジタル一眼の動画対応によってこの認識は古いものとなった。しかし、10万円ほどの普及価格帯のビデオカメラを選ぶ理由は確かに存在する。 - パナソニック、1080/60p記録対応のフラグシップ機「HDC-TM700」
パナソニックは3CMOS形式のデジタルビデオカメラ「HDC-TM700」を発売する。シリーズ製品ハイエンドに位置づけられる製品で、AVCHDでは世界初という1080/60p記録に対応した。 - パナソニック、“超解像”ズーム搭載のハイビジョンビデオカメラを発売
パナソニックは、デジタルハイビジョンビデオカメラの新製品として、96Gバイトのフラッシュメモリを内蔵した「HDC-TM70」など3機種を発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.