小型軽量と一眼クオリティを両立できた秘密――ソニー「NEX」開発者に聞く(後編):永山昌克インタビュー連載(3/3 ページ)
「真っ黒なモックアップ」から始まった、ソニー「NEX-3」「NEX-5」。後編ではその小型軽量を実現するためにそぎ落としたものと得たもの、そして既存αシリーズとの住み分けについて尋ねる。
標準ズームと単焦点ワイドレンズの狙い
――最後にEマウントレンズについて質問します。第1弾として「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」と「E 16mm F2.8」を選んだ理由は?
藤野氏: 標準ズームは絶対に欲しいレンズとしてまず決めました。さらに、より薄型でポータビリティが際立つレンズとして、焦点距離16ミリのレンズを決めました。
牧井氏: 焦点距離16ミリを採用した理由はいくつかあります。1つは、先に決めた18-55ミリのレンズに対して、よりワイドな撮影をするためのソリューションとしての提供です。16ミリすなわち35ミリ換算で24ミリ相当という画角は、最近のコンパクトデジカメで採用する製品が増えている画角です。つまり、24ミリ相当に馴染みのあるユーザーが増えているので、それをNEXでも提供したいと考えました。またサブのターゲットユーザーである、従来のデジタル一眼レフをお使いの人たち、特にハイアマチュア層にとっては、24ミリ相当という画角は、28ミリや35ミリほど使いこなしやすくはありませんが、使えるし、使いこなそうという気持ちにさせる画角だと思います。
一方、技術的な視点としては、16ミリという焦点距離は、とにかく薄く作れるという利点があります。APS-Cという大きなイメージセンサーを使いつつ、広角を実現できるEマウントのメリットを生かした焦点距離です。今後もっと薄くできる可能性はゼロではありませんが、画質とのバランスを考慮しながら薄さを追求すると、現時点ではベストな焦点距離といえます。
さらに、この16ミリという焦点距離では、ワイドコンバーターとフィッシュアイコンバーターを用意でき、それらを装着した際の画質性能がわれわれとして納得できるレベルで設計できた、という拡張性の理由もあります。
――2本のレンズとも金属マウントを採用し、質感や操作感の高いレンズになっていますね。
牧井氏: 樹脂製にすれば、これ以上に軽量化することも可能だったでしょう。しかし、われわれが目指す一眼クオリティとは、凝縮感や持つ喜び、使う楽しさを含んでいます。それを感じ取っていただくために、この質感を提供しています。ズームリングやフォーカスリングの感触も、こだわって作り込んだ部分です。
――秋に発売予定の「E 18-200mm F3.5-6.3 OSS」で採用される、手ブレ補正のアクティブモードとはどんなものですか?
牧井氏: 「E 18-200mm F3.5-6.3 OSS」は、動画にしっかり対応しようという狙いがあり、ハンディカムやサイバーショットで好評をいただいているアクティブモードを搭載します。これは、ワイド端での動画撮影時に、歩きながらでも手ブレが生じにくいようにする機能です。高倍率ズームのワイド端で実現できるもので、テレ側での補正の余裕分を、ワイド側で活用しています。
藤野氏: こういうレンズが欲しいという声はすでに数多くいただいています。また、ボディの機能や操作性についてもご意見やご要望をたくさんいただいています。それだけ期待をいただいているのだと好意的に解釈し、その声を踏まえながら、さらにチャレンジを続けていきたいと思います。
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