ビデオカメラ2011春モデル、3つの傾向(2/2 ページ)
今年もビデオカメラ新製品が登場する時期となった。AVCHD/フルHDが標準的なものとなって久しく、各社それぞれが付加価値を備えたモデルを多く発表してきた。詳細な実機レビューの前に、春モデルの傾向と各社製品の主な特徴を確認しておこう。
ソニー
今春、最もバラエティ豊かに製品を多く用意したメーカーといっていいだろう。2レンズ構成で3Dフルハイビジョン映像を撮影できる「HDR-TD10」、プロジェクターを搭載して撮影した映像をその場で投影できる「HDR-PJ40V」「HDR-PJ20」といったユニーク系から、ビューファインダーを搭載したマニュアル指向の「HDR-CX700V」と幅広く用意した。多くのモデルが1920×1080ピクセル/1080pのプログレッシブ記録に対応したほか、エントリークラス製品の「HDR-CX180」も含め、レンズの広角化が進行していることも注目点といえる。
撮像素子も新型を採用している。裏面照射型CMOSセンサー“Exmor R”であることに変わりはないが、アスペクト比が4:3から16:9に変更され、イメージサークルを使い切ることが可能となり、広角レンズとの組み合わせで「HDR-CX700V」「HDR-CX560V」では35ミリ換算26.3ミリという広角撮影を可能にしている。
製品名 | 撮像素子 | レンズ(35ミリ換算、動画撮影時) | 特徴 | 実売想定価格 |
---|---|---|---|---|
HDR-TD10 | 1/4型 総画素420万画素 Exmor R×2 | 34.4〜344ミリ(3D動画撮影時) | フルハイビジョン3D撮影、裸眼立体視対応液晶ディスプレイ | 15万円前後 |
HDR-CX700V | 1/2.88型 総画素665万画素 Exmor R | 26.3〜263ミリ | ビューファインダー搭載、マニュアル操作インタフェース、60p/24p記録 | 13万円前後 |
HDR-CX560V | 1/2.88型 総画素665万画素 Exmor R | 26.3〜263ミリ | 60p/24p記録 | 11万円前後 |
HDR-PJ40V | 1/4型 総画素420万画素 Exmor R | 29.8〜357.6ミリ | プロジェクター搭載、60p/24p記録、64Gバイトメモリ、GPS | 10万円前後 |
HDR-PJ20 | 1/4型 総画素420万画素 Exmor R | 29.8〜894ミリ | プロジェクター搭載、24p記録、32Gバイトメモリ | 8万円前後 |
HDR-CX180 | 1/4型 総画素420万画素 Exmor R | 29.8〜894ミリ | ベーシックモデル、32Gバイトメモリ | 7万円前後 |
キヤノン
新製品の「HF G10」「HF M43/41」では、撮像素子に同社業務用カメラ「XF105」などにも利用されている1/3型 総画素数237万画素センサー「HD CMOS PRO」の採用が目を引く。既存シリーズモデルに採用されているセンサーに比べると撮像素子数は減少したもののセンサーサイズは拡大しており、また、画素数をフルハイビジョンのピクセル数とほぼ同等としたことから垂直/水平解像度のバランスも向上しており、良好な画質が期待できる。
加えて、HF G10、HF M43/41はプロの監修した「旅行」「キッズ」「学校行事」「スポーツ」「ブログ」など10の撮影シナリオがプリセットされており、メリハリのある映像を手軽に撮影できるのもポイントだ。ただ、エントリークラスの「HF R11」は新型センサーや撮影シナリオの搭載は見送られている。
製品名 | 撮像素子 | レンズ(35ミリ換算、動画撮影時) | 特徴 | 実売想定価格 |
---|---|---|---|---|
HF G10 | 1/3型 総画素数237万画素「HD CMOS PRO」 | 30.4〜304ミリ | 2-3プルダウンなしの24p記録、各種カスタマイズ、デュアルスロット | 15万円前後 |
HF M43 | 1/3型 総画素数237万画素「HD CMOS PRO」 | 43.6〜436ミリ | 64Gバイトメモリ、撮影シナリオプリセット、タッチデコレーション、デュアルスロット | |
HF M41 | 1/3型 総画素数237万画素「HD CMOS PRO」 | 43.6〜436ミリ | 32Gバイトメモリ、撮影シナリオプリセット、タッチデコレーション、デュアルスロット | |
HF R11 | 1/4.85型 総画素数328万画素 | 41.2〜824ミリ | 約270グラム、タッチパネル、タッチデコレーション |
パナソニック
昨年夏に3D対応モデル「HDC-TM750/650」を投入している同社は、さらに3D対応モデルを拡大してきた。HDC-TM750/650はMOSセンサーを3基搭載する3MOSシステム機だったが、今春のHDC-TM90/85は同じく3D撮影に対応するモデルながら、MOSセンサーを1基搭載する安価な1MOSシステム機であり、3D対応機を普及価格帯モデルにも用意することで裾野を拡大しようという意図が見える。ただ、TM750/650、TM90/85のいずれも3D撮影に際しては別途コンバージョンレンズを購入する必要があり、3D撮影もフルハイビジョン3Dではなく、横方向の解像度が半分になってしまう。
エントリークラスの「HDC-TM25」は24p/60p記録など上位モデルの特徴を備えないスタンダードなモデルだが、1080i撮影機としては「世界最軽量」(同社)となる約169グラムという軽量のほか、同梱バッテリで135分録画可能といった取り回しの良さが光る。
製品名 | 撮像素子 | レンズ(35ミリ換算、動画撮影時) | 特徴 | 実売想定価格 |
---|---|---|---|---|
HDC-TM90 | 総画素332万画素 1/4.1型MOSセンサー | 28〜729ミリ | 3D撮影対応、64Gバイトメモリ、24p/60p対応 | 10万前後 |
HDC-TM85 | 総画素332万画素 1/4.1型MOSセンサー | 28〜729ミリ | 3D撮影対応、32Gバイトメモリ、24p/60p対応 | 8万円前後 |
HDC-TM45 | 総画素150万画素 1/5.8型MOSセンサー | 33.7〜1240ミリ | 4色カラバリ | 7万円前後 |
HDC-TM25 | 総画素150万画素 1/5.8型MOSセンサー | 42.9〜721ミリ | 約169グラムの「世界最軽量」1080i撮影機 | 4万円前後 |
ビクター
今春発表の製品の中では、2つのレンズでフルハイビジョン3D撮影可能な「GS-TD1」をはじめ、撮影した映像を3D映像に変換するコンバータを内蔵した「GZ-HM990」など3D関係の機能を強化したモデルが目を引く。ただ、2D撮影のみのスタンダードモデルの基本スペックに目をやっても裏面照射型センサーや、29.5ミリからと広角に強くF1.2からと明るい「GT」レンズなどのトレンドを抑えている。付加機能としてはBluetoothによるAndroid OS(2.1以上対応)搭載スマートフォンとの連係機能が興味深いところといえる。
製品名 | 撮像素子 | レンズ(35ミリ換算、動画撮影時) | 特徴 | 実売想定価格 |
---|---|---|---|---|
GS-TD1 | 1/4.1型 総画素332万画素 B.S.I CMOSセンサー×2 | 44.8〜224ミリ(3D撮影時) | フルハイビジョン3D撮影、裸眼立体視対応液晶 | 20万円前後 |
GZ-HM990 | 1/2.3型 総画素1062万画素 B.S.ICMOSセンサー | 29.5〜448ミリ | 2D-3D変換、裸眼立体視対応液晶、GTレンズ、64Gバイトメモリ、Bluetooth機器連係機能 | 13万円前後 |
GZ-HM890 | 1/2.3型 総画素1062万画素 B.S.ICMOSセンサー | 29.5〜448ミリ | GTレンズ、64Gバイトメモリ、Bluetooth機器連係機能 | 11万円前後 |
GZ-HM880 | 1/2.3型 総画素1062万画素 B.S.ICMOSセンサー | 29.5〜448ミリ | GTレンズ、32Gバイトメモリ、Bluetooth機器連係機能 | 10万円前後 |
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