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「PowerShot S100」第1回――我々はS100を待っていた長期試用リポート(1/2 ページ)

個人的には2010年のベストコンデジだったPowerShot S95の後継、「Powershot S100」がついに登場したのである。我々はS100を待っていた(ちょっと大げさ)ので、早速、使い倒してみるのだ。

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 日本でもやっと「Powershot S100」が出る運びとなったのである。素晴らしい。

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「Powershot S100」 すごく普通にカメラっぽいけど実力は高い

 登場を心待ちにした経緯はこんな感じ。

 2010年秋にキヤノンが出した「Powershot S95」がとてもよかった。デザインもシンプルだし、画質もいいしレンズも明るいし、ハイエンドなコンパクト機として、正直、2010年度の個人的イチオシコンパクトデジカメだった。

 その後継機が期待された2011年秋。キヤノンから発表された新製品群にPowershot S95後継機はなかった。ああ、今年はハイエンドコンパクトはやらないのか……と思いきや、同時期に米国で発表された新製品群に、日本にはなかった「Powershot S100」なるカメラがあるではないか。

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左がPowershot S100、右が2010年発売のS95。基本テイストは同じだが微妙に違う。ただどちらもシンプルなカメラだ

 調べてみたら、どう考えてもS95の後継モデル。しかもかなりスペックアップしてる。これはメチャ気になるじゃないか。えーー。なんで日本で未発表なの?

 ……2カ月が経過した11月。

 おお、やっと日本でも発表された。よかったあ。である。なぜ2カ月のタイムラグが生じたかは気になるが、うれしい限りなのだ。

我々はS100を待っていた(ちょっと大げさ)

 なぜPowershot S95がそんなにツボだったのか、そしてS100を待ち望んだかというと、一番欲しいポジションのカメラだったからだ。

 簡単にいえば、毎日持ち歩けるコンパクトさと日常のスナップ撮影に十分な画質を持ち、昼でも夜でも室内でも十分なクオリティで撮れ、必要な時にはさっと細かいセッティングができるカメラが欲しいのである。普段、デジタル一眼の画質に慣れてる人がセカンドカメラとして使っても違和感のないクオリティで撮れるコンデジ、だ。

 安くて小さいだけなら1/2.3型 裏面照射型CMOSセンサー搭載機があるけれども、ひとまわり大きなセンサーだと画質が全然違うのだ。

 リコーの「GR DIGITAL」は該当する製品だが、ちょいと高価だしレンズが単焦点。富士フイルムの「FUJIFILM X10」もいいが、ちょいとゴツくて日常的に持ち歩くには大げさな感じ。気軽さやコンパクトさを考えると、S95ぐらいがちょうどいいのである。

 で、そんなPowershot S100が手元にやって来たので発売日までにあれこれ使い倒すのである。

 ざっと見たところ、S100の大きなチェックポイントは2つ。ひとつめは基本性能の強化。

 まず撮像素子が変わった。1/1.7型というサイズは同じながら、CCDからCMOSへ、1000万画素から1200万画素へ。画素数はまあどちらでもいいとして、むしろ「自社開発」となってどう変わったのかが気になるところ。

 レンズも変わった。広角側は28ミリ相当から24ミリ相当へ。望遠側は105ミリ相当から120ミリ相当へとどちらも伸びた。倍率で言えば、3.8倍から5倍ズームへの変化だ。広角端はS95と同じF2.0(ちなみに、S95の広角端である28ミリ相当だとF2.2)。望遠端はF5.9とちょっと暗い。これは広角側の明るさを重視した設計ということだろう。画像処理エンジンは最新のDiGiC 5になり、最高感度もISO3200から6400へ上がった。

 ふたつめはGPS。GPSが搭載された。今年春に発売された「PowerShot SX230 IS」(レビュー)のGPS機能は少々残念なものだったが、S100はどうか。これはちゃんとチェックせねばだ。

 そんな感じで軽く使ってみる。

やっぱ24-120ミリ相当は素晴らしい

 24-120ミリのレンジって使いやすい。わたしのメインカメラはニコン「D7000」で、撮影散歩時によく装着するのが16-85ミリ。35ミリ換算にすると24-120ミリだ。広角は広角らしく広く撮れるし、そこそこ望遠っぽい写真もいける。日常のスナップ用ならこのくらいが一番まとまりがいい。

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広角端で丸の内のビル街を撮ってみた 24mm相当 1/640秒 F4 ISO125
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これを望遠端にするとここまで寄れる。これだけいければ十分 120mm相当 1/200秒 F5.9 ISO160

 さて、この望遠側の写真、コントラスト差が大きい分、国旗とその下の白い像の白飛びが気になるところ。マイナスの露出補正をかけてもいいが、S100にはハイライト側のダイナミックレンジを広げる機能があるので、これを使ってみる。ダイナミックレンジを400%にするとこうなる。

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ハイライト補正を400%に 120mm相当 1/1000秒 F5.9 ISO400

 ちょっと構図がズレちゃった分ずるいんだけど、ハイライト部が見事に抑えられる。ISO感度があがる分(400%だと2段分)理屈としてはシャドウ部が多少劣化するが、昼間の撮影ならまず気にならないレベル。かなり使える機能だ。シャドウ部を持ち上げる暗部補正機能もあるが、これは不自然な絵になることがあるので普段オフにしてる。

 写りは、というと、やはり1/2.3インチ系の一般的なコンデジとは全然違う。やっぱこのくらいの画質は欲しいし、一度使うともう戻れない感じ。ああ、こういうコンパクトが欲しかったのだ。

 24ミリだと風景を撮ってもけっこう楽しい。

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噴水と建設中の新パレスホテル 24mm相当 1/160秒 F8 ISO80

 最下部を見ると微妙にゆがんでいるがこのくらいはOKだろう。最近はデジタル補正をかけてゆがみを完全に直すカメラが増えているけれども、あまり補正をかけてないようだ。ついでに望遠にして縦位置も。

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噴水を撮ってる観光客の後ろから 100mm相当 1/200秒 F5.9 ISO80

 噴水ついでに、NDフィルタも使ってみた。

 まずは1/2000秒の写真から。

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最高シャッタースピードは1/2000秒。高速シャッターで撮った水 120mm相当 1/2000秒 F5.9 ISO400

 ISO400に上げて最高シャッタースピードの1/2000秒で噴水を撮影。続いて、ISO感度を下げ、F8まで絞り(これが最大)、NDフィルタをオンにして撮る。

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NDフィルタを用い、F8まで上げて本体だけでぎりぎりまでシャッタースピードを落として撮って見た 120mm相当 1/30秒 F8 ISO80

 こちらは1/30秒。晴天下でここまでシャッタースピードを落とせるのはなかなか楽しいところ。絞り開放で撮りたいけど、明るすぎてシャッタースピードが、というときにNDフィルタを使ってもいい。

 使い勝手は相変わらずいい。

 ある晩、自転車で走ってたら、低い位置に明るくて赤い大きな月が出てたのである。で、さっと自転車を止めてテレ端にして露出補正を−3(±3までいけるのは素晴らしい)にしてさくっと撮影。ハイライト補正はもちろんオンで。

 で、帰宅して確認したら期待した以上に撮れてたのでした。

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絞り優先AEで望遠端で月を狙って見た。上がったばかりの赤い月 120mm相当 1/30秒 F5.9 -3 ISO1250

 さっとシャッターを切って、これだけ撮れていれば素晴らしい。

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